日本だけが金融緩和‥‥暗号資産市場冬の時代を読み解く(6月22日号)

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

先回、ビットコイン(BTC)の半減期からどのくらいで上昇トレンドに転ずるかを書きました。
しばらく続くであろう下落トレンドですが、6月18日には、更に下落が続き、一時遂に20,000ドルを割り込みました。
イーサリアム(ETH)の下落も著しく、暗号資産市場も「冬の時代」がまだ続きそうです。
今回も、現況について、書いてみようと思います。

スイス銀行 政策金利引上げ

スイス銀行は、6月16日予想外の利上げを発表しました。 

2007年以来の利上げに踏み切ったわけですが、政策金利を0.5ポイント引き上げ、マイナス0.25%とし、
世界的な利上げの流れに加わったわけですが、

「想定し得る将来においてインフレ安定化のため一段の政策金利引き上げが必要になる可能性を排除しない」

と更なる利上げについても表明しました。

 

英中銀 5会合連続利上げ

英イングランド銀行(中央銀行)は6月16日、政策金利を0.25%引き上げて年1.25%とすると発表しました。 

進むインフレを抑えるため、度重なる追加の金融引き締めに動きました。

インフレ抑制の緊急性はさらに増す一方ですが、個人消費など経済活動の悪化や金利急騰のリスクと、インフレ高伸は、米国だけでなく欧州でも深刻な問題となっています。

日銀は金融緩和を維持‥‥

日本銀行は17日の金融政策決定会合で、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を維持することを決定しました。

世界の市場では米金融当局の1994年以来の異例の大幅利上げや、スイス銀行やイングランド銀行の利上げを受け、日銀の衝撃的な政策転換の可能性に関する観測が強まり、一旦対米ドル132円台前半まで戻すこともありましたが、日銀の発表後、大きく134円台後半まで、現在は136円台の円安になっています。

暗号資産市場に冷や水‥‥

先回の「知っとく情報」でも触れましたが、
6月13日、暗号資産レンディング(貸付)サービスを行うCelsius(セルシウス)の引き出しが一時停止しました。

パリに拠点を置く暗号資産調査会社のKaiko(カイコ)は、
Celsiusについて「リーマンに近い状態」「信頼回復は、難しい」と厳しく評しています。

Celsius は、2018年6月にローンチ(公開)された、暗号資産金融サービスのプラットフォーム(基盤)で、
暗号通貨を担保にローンを組んだり、レンディング(暗号通貨の貸付)により、高い利息を得たりできるプラットフォームです。

分散型金融(DeFi)の様々なプラットフォームにも、ロックされた総預かり資産(TVL=Total value locked)をかなり保有していました。

しかし、続く米利上げ、ウクライナ戦争、5月の「テラ」ブロックチェーンの崩壊などによって暗号資産市場の時価総額は下落し、
資産状況は悪化。自社プラットフォーム上での資産引き出しを一時停止を発表し、
更にDeFiの基礎であるイーサリアム(ETH)の急落を誘引、暗号資産相場の急落につながりました。

更に心配なのが‥‥

さらに、現在の暗号資産相場の底打ちができない一つの事態となったのが、
シンガポールに拠点を置く暗号通貨ヘッジファンド(※)
スリーアローズ・キャピタル(Three Arrows Capital:3AC)の債務超過、破綻疑惑です。

スリーアローズキャピタル(3ac) は、
2012年に設立されたヘッジファンドで、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)をはじめとした
ベースレイヤー(大元)のブロックチェーンとDeFi(分散型金融)プラットフォームを中心に投資を行っていますが、
現在の暗号資産相場下落に伴って、必要になった証拠金の支払いに応じることができなかったことを、
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じました。

スリーアローズ・キャピタル(3ac)の5月の損失は、-31,370,371.97USD(約42.7億円)となっています。
後日談ですが、強気市場によって生まれた過信が、貸し手が彼らのような企業に融資することによって価値が膨れ上がり、避けるべきだった一連の誤った決断につながったと認めています。
また、3ACとTerraプロジェクトとの親密さが、同社に関するある種の危険信号を見落とさせ、最終的に5億ドル相当の投資がゼロになったことを認めています。

また、LUNAへの投資は確かに会社にとって挫折だったと認め、それでも、本当の問題はビットコイン(BTC)が2万ドルを割り込み、同社が追加融資を受けることが不可能になったときから始まっていたことも認めました。

BitfinexのLeaderBoard/Realiezed Loss(USD)データから
(ワースト1位の@john_j_brownは、Bitfinexの非匿名APIトレーダーとなっていますが、詳細はわからないです)

同様の、預かり資産引き出し凍結の事案は、
香港で暗号資産貸し付けを手掛けるバベル・ファイナンス(貝宝金融)でも、引き出しと返還を停止していて 、
市場の混乱で顧客資産を返還できない状況は、飛び火しているようです。

(※)ヘッジ(hedge)は直訳すると「避ける」という意味で、ヘッジファンドとは、さまざまな取引手法を駆使して市場が上がっても下がっても利益を追求することを目的とした投資信託です。

Blockfiへも波及

Celsius同様、暗号資産レンディング(貸付)プラットフォームを運営する米企業のBlockfi ですが、
大口顧客の一つとして債務超過に陥る可能性を報じられている暗号資産ヘッジファンドの
スリーアローズキャピタル(3AC)への貸付を認めました。

3ACは、BlockFiの追加証拠金(マージンコール)(※)に応じることができず、ポジションを強制清算されたと、
英国「Financial Times」誌が報じました。 

(※)証拠金を担保に取引を行うFXでは、ポジションを保有し続けるための最低証拠金を割り込んだ場合に追加の証拠金やポジションの決済が必要となります。
金融機関が投資家に不足の証拠金を求めることをマージンコールといい、それを受けた投資家は定められた期日までに入金するかポジションを決済しなくてはなりません。期日までに入金がない場合には、ポジションは強制決済されることになります。

今後の暗号資産市場に暗雲‥‥

暗号資産・ブロックチェーン技術を取り扱う米メディアDecrypt(デクリプト)によると、
スリーアローズ・キャピタル(3ac)の取り扱い資産はピーク時で100億ドル(約1.3兆円)と規模が大きく、
先月のTerra(LUNA)の価格崩壊を受け、多額の損失を発生させていて、
また多くのDeFiプラットフォームにも関与しているため、
このまま同社が破産した場合、暗号資産市場にさらなる負の影響がもたらされると考えられると見解を示しています。

パニック売り⁉︎

暗号資産市場では、一部の長期保有者(定義では、5ヶ月以上)でさえ、「パニック売り」の様相となっているようです。
高値の時に一発で買っちゃった人はパニックになるのかもしれません。

逆に考えると、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が市場に出回り始めるきっかけになり、
いずれ需要に応える供給が見込めるということでもありますが‥‥。

段階的に売買が王道です!

暗号資産コミュニティ「クリスタ」では、
投資手法の一つとして「ドルコスト平均法」を推奨しています。

最も賢く堅実な投資方法は、買う時も売る時も段階的に行うのが得策で、
ドルコスト平均法と言われる積立投資を行うことを推奨していますし、そのための勉強会も開催しています。

今回は、ここまでです。

次回は、暗号資産市場の「冬の時代」が、DeFiからの資金引き上げにもある側面、
そして、DeFiのプロトコルといえるイーサリアム(ETH)の今について、書いてみようと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。