ビットコイン(BTC)の底根が重いもう一つの理由にイーサリアム(ETH)の影響が(6月28日号)

早くも、梅雨が明け、猛暑日が連日‥‥熱中症には、くれぐれもお気をつけください。
今回は暗号資産市場の低迷の一因となっている、イーサリアム(ETH)とDeFi市場について書いてみようと思います。

イーサリアム(ETH)の暴落

5月の「Terra」ブロックチェーンの崩壊 、そして今月の暗号資産金融サービスのプラットフォームCelsiusの引出し停止、
ヘッジファンドのスリーアローズ・キャピタル(3ac)の債務超過、破綻疑惑騒動を受け、イーサリアム(ETH)が暴落しました。

ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産市場の連れ安を加速させた要因の一つです。
今回は、イーサリアム(ETH)が暴落した背景について、書いてみようと思います。

イーサリアム(ETH)の足跡

2020年頃からブームとなっているDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)は、スマートコントラクト(あらかじめプログラムされた条件に応じて、自動的に契約を執行する仕組み)の機能が実装されているイーサリアム(ETH)が歩んできた足跡です。

イーサリアム(ETH)のブロックチェーンを越えようと、
ADA(エイダ)、Avalanche(アバランチ)、Polkadot(ポルカドット)、polygon(ポリゴン)、SOLANA(ソラーナ)
などのマルチチェーン構想が生まれていますが、暗号通貨の元祖で唯一無二の存在であるビットコイン(BTC)を別にすれば、現在の暗号通貨エコシステムのほとんどはイーサリアム(ETH)上に構築されているといっても過言ではありません。

そして、イーサリアム(ETH)プロジェクトは更に進化し続けいています。

イーサリアム(ETH)の足跡その2

現在、イーサリアム(ETH)は、「Ethereum2.0」と呼ばれるアップグレードが進行中です。

ご説明しますと、イーサリアム(ETH)は2015年頃から稼働していますが、
当初はビットコイン(BTC)同様、マイニングによるPoW(プルーフオブワーク=「仕事による証明」、膨大な計算式を紐解いて取引を承認する作業のこと)を採用していました。

現在、PoS(プルーフオブステーク=暗号通貨をたくさん、そして長く保有(ロック)=ステーキングしている人が取引の承認作業をして、報酬を得られるというルール)へ移行する「Ethereum2.0」の本格稼働に向けた「ビーコンチェーン(Beacon Chain)が、2020年12月1日に運用をスタートし、Ethereum1.0とEthereum2.0という新旧チェーンの互換性を高める統合=「The Merge(マージ)」と言われる「フェーズ(段階)」が、早ければ今年の8月に控えています。

暗号資産のコミュニティ「クリスタ(当サイト会員コンテンツ)」では、
会員の方限定で「イーサリアム(ETH)の仕組み」について、セミナーを開催、動画を公開しています。

イーサリアムのステーキング(PoS)

イーサリアム(ETH)のステーキングの方法は、

①PCに専用ソフトウェアを入れて、実際にトランザクションを承認する「バリデーターノード(※ 1)」を自ら運営する。

②ステーキングプールをスマートコントラクトで開発しているRocket Pool などを利用する。

③「バリデーターノード」を運用する取引所など=ステーキングを代行する機関のサービスを利用する。

などがあります。

①の場合、
ステーカー(ステーキングをする人)は、32ETH(現在価格:約523万)をデポジット(入金)して、PCを稼働させることでバリデーターになれます。
Ethereum2.0へ移行したあとのステーキング報酬の計算は、ethereumpriceというサイトで行えますが、とても効率が良いことがわかります。

②の場合、
大口ホルダーと小口ホルダー(1ETH以上を)が、合同で32ETHの単位を作ることで、ステーキングに参加できることができます。

③の場合、
Bybitや日本でもKRAKEN(クラーケン)ジャパンでステーキングサービスに参加ができます。

 

(※1)「validate(バリデート)」は「有効にする」という意味で、バリデーションは、入力内容や、書式、妥当性などのチェックのことです。バリデーターノードとは、ブロックを提案することができるコンピューター(端末)を意味します。

イーサリアム(ETH)ステーキングの課題

イーサリアム(ETH)のステーキング報酬は魅力的ですが、課題もあります。
それは、現在のようなイーサリアム(ETH)の大きな価格変動に伴う一つのリスクですが、
ステーキングしたイーサリアム(ETH)は一定期間ロックアップされると言う点です。

それを、解決する仕組みとして、stETH(Lido Staked ETH)というトークンが、生まれ、活況を呈しています。

stETH(Lido Staked ETH)の仕組み

stETHトークンは、DeFiの「Lido Finance」 でイーサリアムのPoSにステーキングすると得られるトークンです。

イーサリアム(ETH)をステーキングすると同時にstETHが生成され、「The Merge」が実現したあとのアップグレードが実行されて初めて、ステークしたETHを報酬ともに引き出せるようになります。

つまり1対1で裏付けられていて債券トークンという位置付けになります。

年間収益率4%とあるように、4.0%の金利報酬でETHを獲得しながら、stETHも得ることが出来るわけですね。

そして、Lido FinanceのETHステーキングで得たstETHは、ETHのステーキング中でロックされていても、トークンの移動や流動性の確保ができ、AAVE(アーベ)  やCurve(カーブ) Finance  、1inchi などのDex、DeFiサービスで運用できます。

つまり、Lido Financeにイーサリアム(ETH)をステーキングして得たstETHトークンを担保に、AAVEをはじめとするDexでETHを借りる。そのETHをまた、Lido FinanceにステーキングしてstETHトークンを得るという、流動性を確保しつつも、更にステーキング報酬にレバレッジもかけることができ、LidoFinanceへの寡占化現象が起きました。

最近では、Ethereum2.0のステーキングのうち33%をLido Financeが占めています。

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コインデスク資料より[/caption]

イーサリアム(ETH)がPoSに完全に移行するまでの間、
暗号資産取引所がステーキングの大部分を占めるのではないかと予測されていた中、
Lido Financeはそうした中央集権的な巨大取引所の代替となるDeFiプラットフォームとして成長しました。

Lido Financeにステーキングされている量が、
「ビーコンチェーン」にステーキングされているイーサリアム(ETH)の3分の1という圧倒的なシェアを誇っているのは、
Ethereum財団の運営にとっても脅威となり、ノード・カルテル化の弊害という表現を用いて、
Ethereum財団は、リキッドステーキングデリバティブ(LSD)の問題点を警告しています。

stETHとETHの価格が乖離(かいり)

冒頭に触れた「Terra」ブロックチェーン、そして今月のCelsiusが活用してた分散型金融(DeFi)の様々なプラットフォームは、イーサリアム(ETH)のスマートコントラクト上に構築されています。
また、Lido FinanceのstETH/ETHも同様です。

stETHには、1対1で裏側にはイーサリアム(ETH)が存在していますが、
5月のTerra崩壊後、stETH/ETHの価格が乖離し始め、stETHはすでにETHと1:1の裏付けがありません。

stETHの生産リスクが‥‥

裏側に、イーサリアム(ETH)があるため、stETHはTerra UST/Terra LUNAのような、取り付け騒ぎにはなりませんが、担保には精算リスクがあります。

精算リスクとは、stETH(担保)の価格が一定よりも下がった時に起きる強制精算、強制売却というものです。
強制売却でstETHはさらに下落し、担保精算の連鎖が起こり、乖離はさらに広がるリスクがあります。
事実、CelsiusではstETHで40万stETH以上の大規模なポジションが保有されており、この精算の連鎖が起きると、DeFi市場全体に精算リスクが波及するおそれがあり、引出し停止を行ったわけです。

更に、stETHのディペッグ(価格レートの乖離)を懸念してstETHを大量売却した大口投資家により、ディペッグが進んでいます。

進むDeFi市場からの資金の引き上げ

ステーキングしてロックされたイーサリアム(ETH)は、先に述べた「The Merge」が実現した後のアップグレードが実行されてから、ステーキング報酬と共に引き出せるようになりますが、昨年11月から始まる暗号資産市場の下落トレンドの影響下、Ethereum2.0に向けての進捗は、当然遅れが出ています。

PoSを進めるための「ディフィカルティボム(difficulty bomb)」についても、延期が続いています。(※)
「The Merge」は、今年8月に予定していますが、stETHがディペッグを起こした原因のひとつとして、
「The Merge」後に想定される不具合や、現在の暗号資産市場を鑑みた延期を不安視することが考えられます。

また、stETHを使ってレバレッジをかけたポジションを作ったユーザー、
特にETHにロングをしたユーザーにとって、stETHをETHに変換する方法は市場で交換するのみですが、
短期的には、stETHは大きな売り圧力に直面すると思われ、DeFi市場からの資金引き上げ、イーサリアム(ETH)価格においても混乱が予想されます。

(※)イーサリアムのマイニング難易度を段階的に上げ、PoSへの移行のために、PoWを実質的に「凍結」する仕組み」をイーサリアムの「ディフィカルティボム(difficulty bomb)」と言いますが、昨年8月の「ロンドン」アップデート以降再三の延期がされ、今回も、ブロック高15,050,000(日本時間の2022年6月30日17:00前後)に、ディフィカルティボムの延期を目的に、イーサリアム(ETH)のハードフォークが行われます。

おわりに

今回はここまでです。
コロナ禍、ウクライナ戦争によるインフレ、利上げ、株式市場の下落、暗号資産市場の下落‥‥
5月の、Terra崩壊、6月のCelsius、Three Arrows Capitalの騒動‥‥これらは全て連動しています。
状況を把握して、判断することが重要ですね。
Ethereum2.0への進捗については、また触れていきたいと思います。