私たちに必要な「お金」について‥‥投資は必須シリーズ⑩暗号資産編-6(9月28日号)

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

FIRE、投資は必須‥‥暗号資産編の第6弾です。
先回は、暗号資産のレンディング(貸付)についてでしたが、今回は、「イールドファーミング(Yield Farming)」」についてです。

暗号資産を取引所に預けるという点で、よく似ている「ステーキング」と「レンディング」。
その違いについては、ステーキングが「保有」、レンディングは「貸付」と意味が違うことを、先回書きました。

今回の「イールドファーミング」(※)も、同様に取引所に暗号資産を預け入れて、金利や手数料収入を得る運用になります。

(※)イールドファーミングとは、イールド(yield)=”利回り”、ファーミング(Farming)=農業、転じて”耕す”の造語。

イールドファーミング(Yield Farming)を理解

イールドファーミングは、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)サービスや、DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所)などの取引所に暗号資産を預け入れることで、金利や手数料収入を得る運用方法です。

CEX=管理型(中央集権型)取引所、例えば、銀行、証券会社、暗号資産取引所などの場合は、流動性を高めるために管理者の方で資金を用意したり、また、暗号資産取引所の場合、取引所と併設で販売所という暗号資産を簡単に売買できる所を設けてようにするなど、資金調達をして流動性を高め、運営をします。

それに対し、DEX=分散型取引所は、ブロックチェーン上のスマートコントラクト(※)という機能を使って、管理者が不在で運営する取引所です。

ただ、管理者がいないということは、マーケティングをする主体がないので、運営に協力してくれる人が必要になります。
つまり、資金を用意したり、流動性を高めるためには、DEXに参加する人=投資家から暗号資産を集める必要があります。

そこで、流動性に協力してくれた人に報酬を渡しましょう、というのが「イールドファーミング」です。

(※)スマートコントラクトとは、「特定の条件が満たされた場合に、決められた処理が自動的に実行される」こと。

イールドファーミング(Yield Farming)の仕組み

イールドファーミングは、上の図にもありますように、暗号資産のペアを資金プールに預けることで利息をもらう仕組みです。

流動性を提供する投資家

流動性を提供する投資家のことを、Liquidity Provider(リクイディティプロバイダー:LP)と言います。

どうして通貨ペア?

暗号資産をペアにする理由は、2つの通貨の間で売買等の取引ができるようにするためです。

例えば、イーサ(ETH)を預けたい場合、「ETH/USDTプール」のような流動性プールを選択する必要があり、両方の資産を預け入れることで、資金プールに流動性を提供することができます。

資金プールは、Liquidity Pool(リクイディティプール:流動性プール)といい、資金を集める銀行の金庫のようなもので、ユーザー同士の暗号資産の貸し借りや売買をするために必要なものです。

流動性について

流動性があるということは?

流動性とは、取引所において取引がどの程度成立しやすいかを示す用語です。
「流動性がある」市場では、暗号資産を売りたい人がいればすぐに買い手が現れ、取引が成立します。
一方、「流動性がない」市場では、なかなか買い手が現れません。

流動性があるときには注文がすぐ約定しますが、流動性がない若しくは、低くなっているタイミングでは、約定に時間がかかったり、スリッページが発生したりします。
スリッページとは、注文した時点の価格と実際に約定された価格に差が生じることを言います。

この価格差は、注文者同士の端末とDeFiシステム間の通信及びシステムにおいて、約定の処理に要する時間の経過に伴い発生するもので、 不利な場合があり、流動性が重要なことが理解できます。

AMMとは

AMMは、Automated Market Maker/自動マーケットメーカーの略です。

中央集権型取引所とは異なり、分散型取引所(DEX)は、暗号資産取引に関わる仲介プロセスがないので、注文のマッチングシステムや取引所がウォレットの秘密鍵を保管することはありません。
そのためDEXは、ユーザーが秘密鍵をコントロールするウォレット(メタマスク(MetaMask)等)から直接取引を開始できるような、自律性で成り立っています。

中央集権型取引所の注文のマッチングシステム、オーダーブック(売買注文を価格レベルごとに整理したリスト)に変わって、DEXではAMMと呼ばれる、自律プロトコル(※)である「自動マーケットメーカー」が、スマートコントラクトを使って、流動性を提供します。

(※)プロコトル=コンピュータ同士がネットワークを通じて通信する際に、決められた手順や約束事。伝送路、伝達方法、通信相手の特定、データの構成や表現方法などをあらかじめ規定したもの。

例えば、ETHの市場価格が2000ドルでも、誰かが多くのETHをプールに追加したために、供給が増えたことで、プール内では1800ドルになる可能性があります。

その時、AMMは、流動性プール内のETHの価格を上げるためにUSDTを売って、ETHを市場価格と並ぶまで買い続けるスマートコントラクトが発動します。

つまり、流動性プール内の暗号資産の割合が可能な限り均衡を保つようにし、プールされた資産の価格における食い違いを無くすために、AMMは事前に設定されたアルゴリズム(計算方法)を利用します。

流動性プロバイダー(LP)=投資家のメリット

イールドファーミングにおいて、流動性プロバイダー(LP)=投資家のメリットを整理してみましょう。

流動性プロバイダー(LP)=投資家は、DEXに流動性を提供、暗号資産を預けることで、利息として報酬を得ます。

また、流動性プロバイダーが預け入れた資産がプール内の流動性の1%に当たる場合だとしたら、プールが獲得した取引手数料の1%に当たるLPトークン(※)を、インセンティブ(報酬)として、合わせて受け取ることができます。
流動性プロバイダーがプールから出て行きたい場合には、LPトークンを換金し、割り当てられた手数料を受け取ることができます。

さらにAMMは、流動性プロバイダーに対してガバナンストークンを発行することもあります。
ガバナンストークンは保有者に、DeFiサービス、DEXのガバナンスや開発に関連する問題に対しての投票権を与えるトークンです。

基本的な考え方は、流動性の提供者(投資家)が流動性プールに資金を預け、その見返りとして金利やLPトークンなどオリジナルトークンという報酬を得るというもので、このような仕組みで、イールドファーミングが成り立っています。

(※)Liquidity Provider(リクイディティプロバイダー)に対し付与される、オリジナルトークンのことを、LPトークンという。
イールドファーミングの報酬として得たLPトークンを、さらにまた預け入れ、インセンティブとしてガバナンストークンを獲得することを、「流動性マイニング」というが、CEXのサービスによっては、イールドファーミング=流動性マイニングと表記することもある。
トークンとは、独自のブロックチェーンではなく、すでにあるブロックチェーンの上に存在する暗号資産のこと。

おわりに

2020年の夏、先回ご紹介したDeFiサービス、Compound(コンパウンド)とAave(アーベ)の登場により、イールドファーミングは一躍ブームを巻き起こしました。

今やイールドファーミングは、DeFiサービスの中でも、最も人気のあるトレンドの一つです。

ただ、収益性の高いイールドファーミング‥‥、なかなか複雑ですね。
管理者がいない面でも、スマートコントラクトに脆弱な点があると、大きなリスクにもなります。

次回も、イールドファーミングについて書いてみようと思います。

お読みいただいて、ありがとうございました。