私たちに必要な「お金」について‥‥投資は必須シリーズ⑪暗号資産編-7(10月5日号)

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
FIRE(※)、投資は必須‥‥暗号資産編の第7弾です。
今回も、先回に続き「イールドファーミング(Yield Farming)」についてです。
イールドファーミング‥‥なんか、ふ・く・ざ・つ‥‥ですね。
イーサリアム系のブロックチェーンは、インターネットに接続していて、対応できるウォレットを持っていたら、誰でも仲介業者を介することなく、直接利用できるDeFi(分散型金融)を実現しました。
管理者がいないから、マーケテイングの主体がいないから、暗号資産の通貨ペアを預けて(ロックアップ)、業務に必要な通貨の流動性を提供してくれた人に、今なら金利以外に、LPトークン、更にはガバナンストークンまで、得ることが可能という内容が、イールドファーミングでした。
高いAPY(Annual Percentage Yield/年利・複利)を謳うDeFiもあり、中にはAPYが100%を超えているプロジェクトも存在しています。
ってことは?リスクも大きい?
ということで、今回も、イールドファーミングについて、書いてみようと思います。
(※)FIRE=Financial(金融) Independence(独立),Retire(引退) Early(早い)の頭文字で、「経済的自立と早期退職」を目標とするライフスタイルを指す造語。
イールドファーミングの指標
流行っているから、儲かる訳ではありません。
イールドファーミングなどのプラットフォームを提供するDeFiサービスや、DEXは、今や非常に多くあり、執筆時点で、DeFi Llamaと言うサイトで、1800種類以上(内Ethereumチェーンが約1/3)あることが確認できます。
雨後の筍(たけのこ)のように、2020年からとんでもない勢いで増加していることがわかります。
イールドファーミングの健全性を測る「TVL」
DeFiの物差しとも言える、「流動性」の重要性については、先回9月28日号で、書きました。
その、流動性について、健全性を図ることができる目安の数値があります。
どれだけの暗号資産がDeFiサービスやDEXにロックされているかを測ることができる数値で、「トータルバリューロック」(TVL:Total Value Lockの頭文字)が、使われています。
DeFi Llamaのサイトで、確認することができます。
TVLは、ネットワークへの総供給額で、流動性プールの流動性を表したものです。
TVL は、DeFi およびイールドファーミング市場全体の健全性を測定するのに有効な指標とも言えます。また、異なる DeFiサービスごとの、健全性を比較することもできます。


ここで、全体のTVLを見てみると、DeFi全体で$54.07b(ビリオン)ですので、約540億ドル(約7.6兆円)が、預けられていることになります。(2022年9月末時点)
私たちの身近な銀行と比較してみると、その規模感がイメージできます。
銀行の場合、預金と貸出金と開示されていますが、預金残高で言えば、全国25位の中国銀行、貸出金も資産として捉えても、全国の銀行の50位以内に入る規模です。
また、ネット銀行で言うなら、楽天銀行級となります。(参考サイト)
ちなみに、昨年の最高値(オールタイムハイ:ATH)時、2021年12月2日のTVLは、182ビリオンで今の3倍以上でしたから、当時はDeFiの大きな第一次ブームだったことが伺えます。
また、BitCoinのブロックチェーンが、ずーと、改ざんされることなく自立して動いている(2022年9月末時点で、約75万6千ブロック)なのと同様、このDeFiサービスの流れも同じく、自立分散して動き続けるであろうと、想像がつきます。
イールドファーミングやDeFiはまだまだ発展途上ですが、将来的にはより安全、簡単に使えるようになっていき、流れがどんどん加速していくんだろうな‥‥、とつくづく思います。
イールドファーミングで知っておくべき事
さて、流動性提供の対価として報酬が得れるイールドファーミング。
なんか、簡単に儲かりそうな雰囲気ですが、イールドファーミングには、「インパーマネントロス」と言う変動損失が発生し、場合によっては資産が減るリスクもあります。
また、聞いたことのない言葉が出てきた‥‥
言葉を分解して、理解してみましょう。
イン | In | 否定の意味がある、接頭語(例:Inable=可能ではない) |
パーマネント | Permanent | 不変、一定 |
ロス | Loss | 損失 |
つまり、一定ではなく、変動することによる損失と言う意味になります。
インパーマネントロス
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産は、市場価格の変動があります。
インパーマネントロスとは、市場価格の変動によって生まれる、次の①と②の価格の差を表します。
①暗号資産をペア(LPトークン)にした時の価格
②暗号資産をペアにせず、それぞれ単独で長期保有(ガチホ=ガチでホールド)していた時の価格
以下では、暗号資産の市場価格の変動を、ETH/USDTのLPトークンを提供した場合と、何もせずガチホした場合を比較してみます。
ETH/USDTのLPトークンを提供した場合
例えば、ETH/USDTの流動性を提供すると、ペアの価格比率はで行われます。
ETH:USDT=1:1
実際に、価格を想定して考えてみます。
計算しやすく、1ドル=100円、1ETH=1,000USDT(ドルと連動した暗号資産)とします。
また、あなたに
1ETHと1000USDT、ドル建で2000ドルの運用資金があったとします。
この2000ドルについて、1ETH:1000USDTで流動性を提供して運用した場合と、運用せずガチホした場合を比べてみましょう。
流動性プール全体の数量が、10ETH:10000USDT
だったとしたら、あなたのLPトークンは、全体の10%を占めていることになります。
さて‥‥具体例です。
①流動性プール全体の10%分の「1ETH:1000USDT」を預けます。
結果、預けた数量が、流動性プール全体の10%を占めたとします。
②預け入れた1ETHの価格が、$1000から$4000に上昇。
その際、流動性プール内では、AMM(Automated Market Maker/自動マーケットメーカー)では、1ETH=4000USDTになるまで、ETHがUSDTで購入されます。
流動性プール内の通貨はそれぞれ同じ割合を保つ必要があるため、結果的にプール内のETHの数量は減ります。
流動性プール内のETHが「1ETH=4000USDT」になるまでUSDTで購入され続け、結果的に戻ってくるETHの数量が減ってしまうという現象が起こるのです。
③流動性を解除
流動性の解除と同時に、流動性プール全体の10%「0.5ETH:2000USDT」が、戻ってきます。
④インパーマネントロスが発生
イールドファーミングで運用した結果のドル建資産は、4000ドルなのに対し、ガチホしていた場合5000ドルとなるので、差額の1000ドルがインパーマネントロスになります。

インパーマネントロスが発生したタイミングは市場価格の変動により、LPトークンを1:1の割合にリバランスした時です。
実際の計算方法は、難しい
上記の表は非常に極端な例です。実際に預け入れた通貨は、とても複雑な形で変動していきます。
インパーマネントロスの目安(Binanceアカデミーから、抜粋)
価格変動 | 損失の目安 |
1.25倍の価格変動 | 0.6%の損失 |
1.50倍の価格変動 | 2.0%の損失 |
1.75倍の価格変動 | 3.8%の損失 |
2倍の価格変動 | 5.7%の損失 |
3倍の価格変動 | 13.4%の損失 |
4倍の価格変動 | 20.0%の損失 |
5倍の価格変動 | 25.5%の損失 |
また、インパーマネントロスを計算してくれるサイトもいくつかあります。
ここでは、代表的なものをご紹介します。
トークンAとトークンBの預け入れた際の価格と現在の価格をそれぞれ入力すると、変動損失の割合(%)を計算してくれます。(実際にいくらほどの損失が出たのかまでは把握できません)

対処法
預けた暗号資産の価格変動によってガチホした時より損失が発生するインパーマネントロスですが、その対処法も存在します。
それは、価格変動がほとんどないステーブルコインを通貨ペアにして預け入れる方法です。

実際に、PancakeSwap(パンケーキスワップ)の流動性プールを見てみましょう。(※)
USDT-BUSDは、どちらもドルに連動したステーブルコインによって、構成された通貨ペアです。
他の通貨ペアに比べると、APR(年換算利回り)は少ないですが、価格の変動も少ないのでインパーマネントロスのリスクは減らすことが可能になります。
(※)PancakeSwapについては、次回触れてみようと思います。
おわりに
やっぱり、DEX、イールドファーミグ‥‥、なかなか、ふ・く・ざ・つ‥‥ですよね。
流動性プールは、市場価格の変動により、常に通貨は1:1に調整されるます。(リバランス)
リバランスにより、ETHの市場価格が上昇すれば、ETHの量⇒減少、USDTの量⇒増加になります。
反対にETHの市場価格が下落すると、ETHの量⇒増加、USDTの量⇒減少になります。
これを言い換えると、ETHの市場下落時にUSDTでETHを買ってるとも言えます。
ドルコスト平均法と似た、方法とも言えます。
次回は、イールドファーミングができる、具体的なDEXについて書きます。
最後までお読みいただきありがとうございました。