暗号通貨ジーキャッシュ(Zcash)について⑤くりぷと知っ得情報12月10日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズでプライバシー重視の暗号通貨、「ジーキャッシュ(Zcash)」について書いてます。

🔶ジーキャッシュ(Zcash)の概要くりぷと知っ得情報11月12日号🔶ビットコイン(BTC)とジーキャッシュ(Zcash)の共通点くりぷと知っ得情報11月19日号🔶秘密の中身を見せなくても正しいと証明できる魔法の技術「zk-SNARKs」
くりぷと知っ得情報11月26日号🔶ビットコイン(BTC)が「ゼロ知識証明」の概念を採用しない理由くりぷと知っ得情報12月3日号

前号では、どうしてビットコイン(BTC)は「zk-SNARKs」をのような、「ゼロ知識証明」の概念を採用しないのか?
について書きました。

ビットコイン(BTC)のコンセプトの一つにある「Trustless(トラストレス=誰も信用しなくていい)」に対して、ジーキャッシュ(Zcash)の場合、「zk-SNARKs」の開発を担うElectric Coin Company(ECC)などを信用する必要があります。

今回からは、ジーキャッシュ(Zcash)がどうやって、「zk-SNARKs」を安全に、また、その信用・信頼を勝ち取っているのか?

を書いていこうと思います。

安全性を確保するための特別な仕組みと運用ルール

ジーキャッシュ(Zcash)は、「zk-SNARKs」という高度な暗号(ゼロ知識証明)を安全に使うために、特別な仕組みと運用ルールで安全性を確保しています。

ジーキャッシュ(Zcash)の対策

ジーキャッシュ(Zcash)が、安全性を確保するために対策しているのは、

「誰か一人を信用しないように、複数人が鍵の一部だけを作り、最後に組み合わせて鍵を作る」といった、

「信頼しないための仕組み」で信頼を作る

といった、対策です。

その仕組みについて、書いていきましょう。

1、Powers of Tau(パワーズ・オブ・タウ)

Powers of Tau(パワー・オブ・タウ)とは、「zk-SNARKs」に必要な「公開パラメータ(設定値)」を 世界中の多くの人が協力して安全に作るための仕組みです。
「zk-SNARKs」は高速でコンパクトなゼロ知識証明を作れますが、そのためには「秘密のランダム数」を生成し、最終的にそれを完全に破棄しなければ安全になりません。

しかし、1人だけがこの秘密値を作ると、その人が悪用できてしまう危険があります。


そこで作られたのが「Powers of Tau」になります。

これは、世界中の参加者が順番に「自分だけのランダムな数」を混ぜ込み、前の人の秘密部分を壊しながら安全性を積み上げていく“リレー方式の儀式”です。


参加者のうち1人でも本当に秘密を捨てれば、全体として完全に安全になる特徴があります。

Powers of Tauは、複数のアプリケーションのために使える「共通の安全な土台」を作る技術として、多くのプロジェクトで採用されています。

Powers Of Tauを解説!

Powers of Tauの「Tau(タウ)」の意味は?

誰にもわからない “ひみつの数字”

を指します。
数学でよく、未知の値や秘密のパラメータを「τ(タウ)」という文字で表すことがあるため、「zk-SNARKs」のセットアップでも、その記号がそのまま使われています。
だから、Powers of Tau(タウの力)は、

秘密の数字「τ(タウ)」を安全に作り上げる儀式」

という意味です。

 

それを踏まえて、Powers of Tauを例え話で、わかりやすく解説していきましょう。
 

例:みんなで“絶対に開けられない金庫の鍵”を作るリレー

「とにかく安全な金庫を作りたい」場合を例にお話しします。
 

その金庫を安全にするには、

誰も知らない“究極の鍵”

があれば、安心です。

でも、特定の一人が鍵を作ると、その人がこっそり合鍵を持ててしまいます。
それでは安全とは言えません。

そこで考えられた方法が‥‥

みんなで順番に鍵を”強化”していく仕組み

です。
その仕組みの具体的な流れとしては、

1、鍵の“たたき台”を最初の人が作る。

2、次の人がそこに自分の「秘密の要素」を追加して、鍵をもっと複雑にする。

3、さらに次の人も、自分しか知らない秘密の要素を加える。

4、これを世界中の人が次々と繰り返す。

5、最後の人が完成版を公開して、みんな自分の材料(秘密)を破棄。

途中で鍵を強化した人たちのうち、たった1人でも“自分の秘密を本当に捨てた人”がいれば、鍵の秘密は誰にも分からないという仕組みです。

しかも、すべて記録されて公開され、誰でも監査できる仕組みなので、不正を働くリスクの方が高い仕組みになっています。

参加者が100人いたとして、99人が自分の秘密を破棄せず不正をしたとしても、1人の善人が秘密を捨てていれば、金庫は安全。

これが Powers of Tau(パワーズ・オブ・タウ)の考え方で、Powers of Tauは、ジーキャッシュ(Zcash)や他の暗号技術で使う「世界中のみんなで少しずつ“秘密の材料”を作り、誰も全体の秘密を持てないようにする儀式」」と言えます。

2、「zk-SNARKs」が超強力な数式であること‥‥

「zk-SNARKs」は、誰にも破れない、超強力な数式で作られています。(と言われています)(参考)
その数式の超強力な部分について、例え話を交えて書いていきましょう。

zk-SNARKsの超強力な数式

「zk-SNARKs」が使っている超強力な数式(数学)は、

世界一安全な“ひみつの貯金箱”

みたいな感じです。
あなたは、お金を入れるけど、

「中を見られたくない貯金箱」

を持っています。
こんな感じ。
でも、必ずこう聞かれます。
 

「本当に、お金が入っているの?ウソついてない?」

そこで、この貯金箱はすごい能力を持っています。

すごい能力その①

中身は絶対に見えない=誰がどれだけお金を入れたかは、どんなにがんばっても絶対に見えません。

これは、貯金箱を守る“数学の力”があまりに強いからです。

すごい能力その②

でも、

「ちゃんと入れたよ!」

ということだけは証明できる。

貯金箱の中身は見せないけど、ちゃんと入れてあるってことだけは証明できるよ!って、って感じです。

しかもその証明はすごく短くて、すぐ分かる。
でも、

「どうやって証明したかは誰にも分からない」

し、真似もできないものです。
この貯金箱は、どんなコンピュータでも壊せないくらい難しい数学(数式)で守られていて、だれにも中身を見られないものと、イメージしましょう。
これが、ジーキャッシュ(Zcash)の匿名性が強い理由です。

おわりに

なんかすごい技術、数学で匿名性を確保しているジーキャッシュ(Zcash)ですが、次回は、そのあたりの解説と続きを書いていきます。
お読みいただいてありがとうございました。