暗号通貨ジーキャッシュ(Zcash)について③くりぷと知っ得情報11月26日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズでプライバシー重視の暗号通貨、「ジーキャッシュ(Zcash)」について書いてます。
プライバシーと匿名性に焦点を当てた分散型の暗号通貨で、第2のビットコイン(BTC)と言われるほど共通した特徴を持っています。

🔶ジーキャッシュ(Zcash)の概要くりぷと知っ得情報11月12日号🔶ビットコイン(BTC)とジーキャッシュ(Zcash)の共通点くりぷと知っ得情報11月19日号

前号では、ビットコイン(BTC)とジーキャッシュ(Zcash)の共通点について書きました。

ざっくりおさらいすると‥‥

ネットワークを安全に保つ最重要役である「フルノード」について、

ビットコイン(BTC)

Bitcoin Coreを代表的に、複数の「フルノード」があって、ビットコイン(BTC)の台帳を正しく保つ役割をしてますが、

取引の内容が全部見える仕様

です。

ジーキャッシュ(Zcash)

ジーキャッシュ(Zcash)の開発を担う、
🔹Electric Coin Company(ECC)が開発している「zcashd」と、
🔹Zcash Foundationが開発している「Zebra Client」という「フルノード」があって、台帳を正しく保つ役割をしてますが、

取引の内容が全部見える仕様+見えない取引も正しく処理する

「高度な機能」があります。
今回は、その「高度な機能」について書いていこうと思います。
さらに、ビットコイン(BTC)を意識した時代背景が見えてきます。

zk-SNARKs

「zk-SNARKs」とは、秘密の中身を見せなくても「正しい!」と証明できる魔法の技術です。
🔶zk=zero-knowledge(ゼロ知識)

🔶S=succinct(簡潔な)

🔶N=non-interactive(お互いのやり取りは少なく)

🔶ARKs=arguments(証明できる仕組み)

プライバシーと匿名性に焦点を当て、多数の研究者・暗号学者が関わっていたプロジェクトがベースとなっています。
 

 

❓新しい技術なの❓

ゼロ知識証明の開発背景

ゼロ知識証明について、以前、くりぷと知っ得情報でも書きました。

🔹あなた(証明者)は本当は鍵を持っている。

🔹相手(検証者)は「この人は鍵を持ってるか?」を知りたい。

🔹ただし、鍵そのものを見せてはいけない。

🔹そんな時、「私は鍵を持っていて、それを使ってこのドアを開けられます」という“証明”が通ればOK‼️

というやつでした。

この開発背景には、多くの研究者、プロジェクトの長年の研究の積み重ねがありました。

提唱・開発者

ビットコイン(BTC)が誕生する前です。

1980年代にはゼロ知識証明の概念が論文で初めて提唱されていました。

提唱者

🔶Shafi Goldwasser(シャフィー・ゴールドワッシャー)‥‥暗号学・計算複雑性理論の大家。ゼロ知識証明の初期定義に大きく貢献
🔶Silvio Micali(シルビオ・ミカリ)‥‥Goldwasserとともにゼロ知識証明を開発。後に、アルゴランド(ALGO)創設。
🔶Charles Rackoff(チャールズ・ラコス)‥‥Goldwasser、Micaliと協力して「知識複雑性 (knowledge complexity)」やインタラクティブ証明、ゼロ知識証明を形式化。
らが、発表した論文

「The Knowledge Complexity of Interactive Proof Systems」(1985年発表)

(証明する人と確認する人が会話しながら行う証明手続きで、“秘密をどれだけ守りながら証明できるか”を理論的に分析した論文)
にその起源があります。

この論文が、「Zero Knowledge」という言葉とゼロ知識証明の正式な定義を初めて作ったと言われています。

問題意識

🔹暗号・計算機科学の分野で「ある主張が正しい」ということを相手に示したいけど、その裏付けとなる秘密情報(例:鍵・証拠)を見せたくない=見せられない場面が増えていきました。
例えば、パスワードや秘密鍵を持っていることを示したいけど、そのパスワードや鍵そのものを渡したくない。
「秘密を出さずに主張を証明できるか?」という問いが出てきました。

そして、「ゼロ知識(Zero-Knowledge)」という概念‥‥検証者が知るのは「主張が正しい」という事実だけで、その他の情報は何も知らないという性質を持つ証明方式が定義づけされ、誕生してきたわけです。
🔹2008年に、ビットコイン(BTC)が誕生した後も、その研究は急加速していきました。
いわゆる、「透明で誰でも見られる “ガラス張りの金庫”」セキュリティが高いビットコイン(BTC)に対して、
🔹ガラス張りのまま、プライバシーを守れないか?という、

ZKP(Zero-Knowledge Proof:ゼロ知識証明)❌ ブロックチェーン

の研究が一気に進みました。
つまり、

💡ZKP(Zero-Knouledge Proof:ゼロ知識証明)は、ビットコイン(BTC)誕生の20年以上前から研究され、

💡ビットコイン(BTC)により「匿名性を守りながらの取引」に注目が集まり、研究が加速した

ということです。
🔹2013〜2014年頃、「zk-SNARKs」の研究が急加速。ジーキャッシュ(Zcash)チームが大きく貢献しました。
「短い・速い・対話不要」のゼロ知識証明を実現。
🔹2016年、ジーキャッシュ(Zcash)のメインネットローンチで、「zk-SNARKs」を本格採用し、研究から実用化へ進化。

開発者

🔶Alessandro Chiesa(アレサンドロ・チーサ)
🔶Eli Ben-Sasson(エリ・ベンサッソン=Starkware(※)創業者)
🔶Eran Tromer(エラン・トロマー)
🔶Madars Virza(マダールス・ウィルザ)
などが中心になって、開発が進みました。

(※)StarkWare社は、ゼロ知識証明技術「zk-STARK」を開発し、Ethereumなどの処理を高速・低コストにする技術(L2)を作っている企業です。

❓ここで、疑問❓

ビットコイン(BTC)には、「zk-SNARKs」は導入されないの?

おわりに

今回はここまでです。
続きは次回です。