米国証券取引委員会(SEC)による暗号通貨に対する規制①くりぷと知っ得情報(11月29日号)

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

先回まで、ビットコイン現物ETFについて書きました。

今回からは、暗号通貨市場が拡大していく中で、必然なのかもしれない規制について、書いていこうと思います。

Binance(バイナンス)のCEOが辞任

11月22日、世界一の取引高の暗号通貨取引所「Binance(バイナンス)」(※)」CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏が、CEOを退任したと「X(旧Twitter)」で、公表しました。

(※)Binanceは取引量で世界最大規模の仮想通貨取引所です。2022年8月現在、Binanceの日時取引高は760億ドル(日本円:約10兆)を誇り、世界中で9,000万人の顧客を抱えています。本プラットフォームは、ユーザーがデジタル資産を購入・販売・保有したり、上場されている350以上の仮想通貨、何千もの取引ペアにアクセスしたりできる信頼のおける取引所としての地位を確立しています。(CoinMarketCapから引用)

投稿を要約すると‥‥

本日、私はBinanceのCEOを辞任しました。確かに、感情を手放すのは簡単ではありませんでした。
しかし、それが正しいことだとわかっています。私は間違いを犯したので、責任をとらなければなりません。
これは私たちのコミュニティにとっても、バイナンスにとっても、そして私自身にとっても最善です。

(中略)

本日、リチャード・テン(Richard Teng)氏がバイナンスの新しいCEOに任命されました。
リチャードは、Binanceに入社する前は、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の金融サービス規制当局のCEOを務めていました。
シンガポール取引所(SGX)の最高規制責任者。シンガポール金融庁の企業財務部長。 リチャードとチーム全員とともに、最高の日々が過ごせると確信しています。

(中略)

私は今後も米国政府機関の決議に定められた枠組みに従って、必要に応じてチームの相談に応じるつもりです。

私にとって次は何でしょうか? まずは休憩します。過去 6 年半の間、実際に(電話をオフにして)休憩した日は 1 日もありません。

(中略)

ようやくDeFi(※1)に目を向ける時間が増えてうれしいです。

リスナーがいる場合は、少数の将来の起業家のコーチ/メンターになることを個人的に受け入れるかもしれません。
少なくとも、してはいけないことだけは伝えることができます。 その点に関して、私は米国政府機関との決議の中で次のように述べていることを誇りに思います。
Binanceがユーザー資金を流用したとは主張しないでください。
Binanceが市場操作に関与したと主張しないでください。

資金はSAFU(※2)です!そのために、私は新しい指導者が手綱を握るのを見るのを楽しみにしています。

(※1)「Decentralized Finance」の略。ブロックチェーンを活用して、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。

(※2)「SAFE(安全)」という言葉をもじった造語で、Binanceの取引保護基金「SAFU(Secure Asset Fund for Users=担保付き資産緊急基金)」のことを指している。

バイナンスは米国当局との和解のため、合計で約43億ドル(約6,400億円)の罰金を支払うことになりました。

世界最大の暗号資産取引所のスキャンダル的事案になるというリスクから、Binanceから約24時間の間に、約9億5,600万ドル(約1,430億円)が引き出されたことが明らかになりました。

SEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)

暗号資産は株式や商品市場などの歴史と比べ、規制整備が進んでいないため、SECによる規制の動きは、顕著になってきていますし、これからも続くと思われます。

そもそも、SECとは?その権限は?

SEC(米国証券取引委員会)委員長の権限

SEC(Securities and Exchange Commission)は、投資家保護と公正な市場整備のために、1934年に設立された米国の市場監視機関=連邦政府機関です。

大統領が任命する5人のコミッショナーをトップに、弁護士、会計士、エコノミスト等で構成される専門家集団で、日本で言うと、証券取引等監視委員会と公認会計士、監査審査会を併せ持ったような組織になります。

証券取引に関する法律の管轄など証券行政を取り仕切る独立した監督官庁として絶大な権限を持ち、SEC委員長の権限は、アメリカ合衆国の警察機関のひとつであるFBI長官と並ぶ「法の強制執行者」とも言われています。

現在の委員長は、ゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏です。

米国ガーランド司法長官、イエレン財務長官の記者会見で‥‥

今回、暗号通貨取引所「Binance(バイナンス)」と、Changpeng Zhao(チャンポン・ジャオ:CZ)CEOが認めた内容によると、

バイナンスは、マネーロンダリング(資金洗浄)防止法違反に加え、イスラム組織ハマスや他のテロリスト集団との取引を容認するなど、米制裁に違反した罪が含まれます。

同社を存続させることを前提に、バイナンスは刑事責任を認め、43億ドル(約6400億円)の罰金支払いに同意しました。

米シアトルの連邦地裁に出廷したCEOは銀行秘密法違反の罪を認め、司法取引の一環として退任と5000万ドル(75億円)の支払いに同意しました。

バイナンスはマネーロンダリング防止法違反、無認可の送金事業を実施するための共謀、米制裁違反を含む3つの罪に問われ、18億ドル(2,700億)の罰金を支払い、25億ドル(3,700億ドル)を没収されます。

また、財務省によると、バイナンスの違反には、ハマスの軍事部門カッサム旅団、パレスチナ自治区の武装組織「イスラム聖戦」(PIJ)、国際テロ組織アルカイダ、イラクとシリアの過激派組織イスラム国(IS)などのテロリストとの疑わしい取引を阻止・報告しなかったことも指摘されました。

さらに、裁判所への提出資料によれば、同社は米国とイランの顧客との間で、少なくとも110万件、8億9800万ドル強相当の取引を容認しました。

ガーランド司法長官は「バイナンスが世界最大の暗号通貨交換業者になった背景には、同社が関与した犯罪がある。今回、企業として米史上最大級の罰金を支払うことになる」との声明を発表ししました。


米財務省や商品先物取引委員会(CFTC:COMMODITY FUTURES TRADING COMMISSION)なども加わった今回の司法取引により、複数年にわたったバイナンスへの調査は終了しました。

おわりに

突然のバイナンスの敗訴、チャンポン・ジャオCEO退任のニュースは、驚きでした。

インターネットとブロックチェーンという、「ボーダーレス」な取引が可能な暗号通貨。

その世界最大の取引所Binanceは、アメリカの企業ではありませんが、アメリカの法律の適用を受け入れました。

その日、ビットコイン(BTC)暗号通貨市場の価格については、このニュースを受け5%下落しましたが、翌日には全戻ししました。

今回はここまでです。

次回は、この続きです。

お読みいただいてありがとうございました。