米国証券取引委員会(SEC)による暗号通貨に対する規制②くりぷと知っ得情報(12月6日号)

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
先回から、暗号通貨市場が拡大していく中で、必然なのかもしれない米国証券取引委員会(SEC)による暗号通貨に対する規制について書いています。
SECによる暗号通貨取引所等に対する規制
そのSEC(Securities and Exchange Commission:米国証券取引委員会)は、過去において度々、暗号通貨取引所や暗号通貨の投資運用会社に対して、連邦裁判所を通じて提訴、法廷闘争にまで発展しています。
暗号通貨取引所に対する提訴
SECは、Binance(バイナンス)US、Coinbase(コインベース)、Kraken(クラーケン)などの暗号通貨取引所に対して提訴しています。
最近では、今年の6月にBinanceとCoinbaseに対して、また、先月11月にはKrakenに対して、米証券取引法違反の疑いで提訴しています。
Binanceに関しては、先回書いた通り、Binance側がアメリカの法律の適用を受け入れる形で、18億ドル(2,700億)の罰金を支払い、25億ドル(3,700億ドル)が没収されることになりました。
また、Changpeng Zhao(チャンポン・ジャオ:CZ)CEOに関しては、銀行秘密法違反の罪を認め、司法取引の一環として退任が決定、5000万ドル(75億円)の支払いに同意し、バイナンスへの調査は終了しました。
インターネットを使った「ボーダーレス」な取引が可能な暗号通貨取引所各社は、SECの提訴に対して明確なルールを作るよう求め、訴訟は法廷に持ち込まれて継続中です。
米デジタル商工会議所は、Binanceを支持
デジタル資産とブロックチェーンベースの技術の受け入れと利用を促進することを目的に設立された、アメリカの「米デジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce)」という擁護団体があります。
バイナンスやコインチェックなどの暗号通貨関連企業だけでなく、VISAやフィデリティ、デロイト・トウシュ・トーマツなど超大手企業なども加盟しています。
その、米デジタル商工会議所は、10月19日、米国証券取引委員会(SEC)との法的闘争において世界最大の暗号資産取引所Binance(バイナンス)を支持すると表明していました。

その表明に対して、ビットコイン(BTC)の価格は15%以上上昇し、今の上昇トレンドを形成しました。

DeFiプロジェクトへの操作も増える?
米証券取引委員会(SEC)の暗号通貨サイバー部門の責任者を務める、デビッド・ハーシュ(David Hirsch)氏は、今後もさらに暗号通貨取引所や分散型金融(DeFi)プロジェクト(※1)に対する追及はまだ終わっていないと、これからの規制の方向性について、DeFiプロジェクト、DEX、ステーブルコイン(※2)なども規制の対象にすると言及しています。

(※1)DeFiは分散型金融と呼ばれる仕組みです。分散型金融とは、中央に管理者を置かずに取引を行う金融システムです。
DEX(Decentralized Exchange)と言われる分散型取引所も、DeFiの一つです。
CEX(Centralized exchange:中央集権型取引所)は、法人等の中央組織が管理、運営を行っている取引所で、法定通貨/暗号通貨間、および暗号通貨同士の交換が可能です。
一方、DEXはユーザー同士が直接取引を行う取引所で、CEXと違い管理する中央組織はなく、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムを使い、カストディ(資産管理者)を必要とせず、暗号通貨同士の交換が可能な取引所です。
有名なDEXとしてはUniswap(ユニスワップ)やPancakeSwap(パンケーキスワップ)などがあります。
(※2)ステーブルコインとは、価格の安定性を実現するように設計された暗号通貨のことで、USDT、USDCなどがあります。裏付け資産を持つことで、決済手段としての暗号通貨の普及を促し、実用性を高めるために設計されました。USDTなどは、1USDT=1USD(ドル)に設計されています。
暗号通貨運用会社に対する提訴
投資運用会社のグレースケール・インベストメント(Grayscale Investments)が、店頭取引(OTC)(※)されているグレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)をビットコイン(BTC)の上場投資信託(ETF)に変更するための申請したことに対し、SECが却下したことでグレースケールとSECの間で、法廷闘争に発展していました。
(※)OTCとは、Over The Counterの略で、取引所を介さずに売り手と買い手が1対1で直接取引する「相対取引」のこと。当事者同士であらかじめ「価格」「数量」「決済方法」を決めてから行う取引で、取引所外取引のひとつです。
SECの敗訴
米国裁判所による8月29日の提出書類によると、控訴裁判所の判事ネオミ・ラオ氏は、SECがグレースケールがなぜ誤っているのか説明を提供していない観点から、グレースケールの再審査申請を認め、SECによるGBTC上場申請の拒否を無効とするよう命じました。
運用会社グレースケール・インベストメンツは、米国証券取引委員会(SEC)に対する重要な裁判で勝訴しました。
ただし、この判断はグレースケールのビットコイン現物ETFの最終的な上場を保証するものではないとしています。
おわりに
米国証券取引委員会(SEC)は、暗号通貨取引所や暗号通貨運用会社に対して、アメリカの法律を適用すべく、提訴、法廷闘争を繰り広げています。
そして、暗号通貨プロジェクトに対しても、規制の手は伸びています。
次回は、その暗号通貨プロジェクトに対する規制について、また、この規制についての背景について書きます。