イーサリアム仮想マシンEVMとは⑥くりぷと知っ得情報5月8日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

今回もEVM互換ブロックチェーン(EVM-Compatible Chains)でも、独自のメインネットであるレイヤー1において、EVMを採用するブロックチェーンについて、書いています。

前回までのおさらい


◻︎EVM互換ブロックチェーンレイヤー1について【BNB編】(くりぷと知っ得情報4月24日)

◻︎EVM互換ブロックチェーンレイヤー1について【AVAX編】(くりぷと知っ得情報5月1日)


イーサリアムのEVM(Ethereum Virtual Machine)をコピーして実装したブロックチェーンを、”EVM経済圏”と呼びます。
今回はその最終回、「Fantomファントム(FTM)」について、書いて行きます。

EVMチェーンリストはこちら。

Fantom(FTM)とは?

Fantom(FTM)は、韓国のコンピューターサイエンティストであるAhn Byung Ik(アン・ビョンイク)博士が開発したブロックチェーンプロジェクト及びトークンで、ファントム財団(Fantom Foundation)によって2018年に創立され、2019年12月にFantomのメインネットであるOPERA(オペラ)がローンチしました。

トークン名称

Fantom(ファントム)

ティッカーシンボル(通貨)

FTM

発行枚数

31億7000万枚

コンセンサスアルゴリズム

Lachesis(ラケシス)+PoS(Proof-of-Stake)

価格(日本円)

107円

時価総額ランキング

52位

時価総額

約2,996億円

2024年5月7日現在、CoinMarketCap調べ

Fantom(FTM)の特徴

3種類の規格

前回ご紹介したAvalanche(AVAX:アバランチ)に、「X-Chain」、「C-Chain」、「P-Chain」といった「Primary Network」があったように、Fantomチェーンにも3つの規格が存在します。

ERC-20トークン

ERC-20はイーサリアムブロックチェーンの規格ですが、ERC-20規格のFantom(FTM)はイーサリアムのブロックチェーン上にFTMが構築されているトークン、という意味です。
ERC-20のFantomトークン(FTM)はOperaネットワーク上で直接は、使用できません。

BEP-2トークン

BEP-2は、暗号通貨取引所「Binance(バイナンス)」のブロックチェーン規格です。
BEP-2規格のFTMとは、バイナンスチェーン上にFTMが構築されているトークンということになります。
複数の規格に準拠することで、イーサリアム系統・バイナンス系統の暗号通貨を保有している人が、同じウォレットでFTMを保有できるといったメリットがあります。

Operaトークン

Fantom(ファントム)のメインネットワーク「Opera」は、DApps(分散型アプリケーション)を構築する目的として開発され、より高速で安全な環境を強みとしています。
EVM(イーサリアム仮想マシン)、イーサリアムのスマートコントラクトを翻訳できるシステムに対応しています。

Lachesis(ラケシス)コンセンサスアルゴリズム

Fantom(FTM)のコンサセンサスアルゴリズム(ブロックチェーンを動かす仕組み)は、ABFT方式の「Lachesis(ラケシス)」が導入されています。
ABFTとは「Asynchronous Byzantine Fault Tolerance:アシンクロナス(非同期) ビザンチン フォールト トレランス」(※)の略称で、最高レベルのセキュリティを維持しながら合意を得ることのできる仕組みと言われています。

(※)ブロックチェーンの生みの親であり、ビットコイン論文を発表したサトシナカモトが考案した、ビットコインの大きな成果の一つ、ビザンチン将軍問題という合意形成上の問題点の実用的な解消方法。
ビザンチン将軍問題、「Asynchronous Byzantine Fault Tolerance:アシンクロナス ビザンチン フォールト トレランス」については、次回書きます!

DAG(有向非巡回グラフ)採用

Fantom(ファントム)は、前回のAvalancheもそうでしたが、従来のブロックチェーンによる取引処理とは異なり、取引データを格納せずに複数の取引データを同時に処理できる、DAG(Directed acyclic graph/有向非巡回グラフ)というプロトコルを採用していて、高速取引が可能となっています。
そのスピードは1秒以下と、ほとんど即時転送に近い速さで、同時に処理できる取引数も数千程度となっているため、高い拡張性を実現しています。

おわりに

キラーイーサリアムの一つ、Fantom(ファントム)について、書いてきましたが、2022年3月にはファントムの開発者の一員であるAnton Nell氏とAndre Cronje氏がプロジェクトから脱退したり、2023年9月には、ファントム上のDEX(分散型取引所)であるSpiritSwapが、チェーン上のトラブルから運営を縮小したり、2023年10月にはファントム財団関連ウォレットが巨額のハッキングを受けたりと、トラブルが続いています。
中央集権が故に、起こり得るトラブルかと思います。
今回はここまでです。
お読みいただきありがとうございました。