イーサリアム仮想マシンEVMとは⑤くりぷと知っ得情報5月1日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

前回からはEVM互換ブロックチェーン(EVM-Compatible Chains)でも、独自のメインネットであるレイヤー1において、EVMを採用するブロックチェーンについて、書いています。

前回のおさらい


◻︎EVM互換ブロックチェーンレイヤー1について【BNB編】(くりぷと知っ得情報4月24日号)


今回は、前回のBNBに続き、EVMを採用するレイヤー1、Avalanche(AVAX:アバランチ)についてです。

Avalanche(AVAX:アバランチ)

アバランチ(AVAX)は、前回のBNB同様、スケーラビリティ、相互運用性、ユーザビリティの向上を目的としたdApps(分散型アプリケーション)のためのプラットフォームで、イーサリアムの対抗馬(キラーイーサリアム)の一つです。

コーネル大学のエミン・ガン・サイラー(Emin Gün Sirer)氏を中心に、同大学のコンピュータ科学博士のケビン・セクニキ(Kevin Sekniqi)氏、マオファン・テッド・イン(Maofan "Ted" Yin)氏らが設立したAva Labs(アバラボ)によって、2018年に立ち上げられ、2020年9月にメインネットがローンチされました。

トークン名称

Avalanche(アバランチ)

ティッカーシンボル(通貨)

AVAX

発行枚数

7億2000万枚

コンサンセスアルゴリズム

Avalanche Consensus+PoS(Proof of Stake)

価格(日本円)

5,167円

時価総額ランキング

12位

時価総額

約1兆9,600億円

2024年4月30日現在、CoinMarketCap調べ

Avalanche(アバランチ)の特徴

Avalancheの最も特徴的な点は、他のブロックチェーンとは異なる種類のコンセンサス・アルゴリズムを採用している点です。

アバランチ・コンセンサス

アバランチ・コンセンサスは、ビットコインに代表されるコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work」の課題を解消するために開発され、処理能力やスピード、強固なセキュリティを実現しています。

すべてのノード(コンピュータ端末)がDAG(有向非巡回グラフ)というプロトコルを採用し、取引の処理と検証を行います。

そうすることで、取引は同時に処理され、バリデータのランダムなポーリング(※)により、統計的な確実性で取引が正しいことを保証することができます。

(※)ポーリング(polling)とは、通信やソフトウェアにおいて、競合を回避したり、送受信の準備状況を判断したり、処理を同期したりするために、複数の機器やプログラムに対して順番に定期的に問い合わせを行い、一定の条件を満たした場合に送受信や処理を行う通信及び処理方式のこと。


イメージとしては‥‥

一つの部屋に、64人いたとして、今日の昼ごはんは、寿司とピザとどちらがいいかを決めるとします。

部屋にいる全ての人が、それぞれランダムに選択した数人の人に「寿司がいい?、ピザがいい?」と聞いて行きます。

例えば、「自分は寿司がいい」かなと思っていても、同様に聞いていきます。

設定として、聞いていく人数を5人として、5人のうち3人が「ピザ」と答えた場合、自分の最初の好みが「寿司」であったとしても、みんながピザというならということで、自分もピザにするとし、次回からの質問には「ピザ」と答えて行きます。

参加者全てが同時に、質問する相手を変更しながら、この質問のプロセスを何度か繰り返し行っていきます。

違う5人の人に質問を何度か繰り返し、「ピザ」の答えしか返ってこなくなってくると、最初の段階ではバラバラだった部屋全体の意見が、一つにまとまることになります。
要するに、部屋にいる64人の合意が得られたことになります。
ブロックチェーンにおいては、64人の人をノード、部屋をネットワーク、寿司、ピザの選択をトランザクションの承認または拒否に関する選択に置き換えて考えることができるというわけです。
Avalancheアバランチは、上記のアバランチ・コンセンサスとPoS(Proof-of-Stake)(※)と組み合わせています。

出典:Avalanche - Whitepaper

(※)マイニングによる報酬が、PoWは計算した量・スピードによって決まるのに対し、PoSはコインの「保有量」と「年数」で報酬が決まる仕組み。

Primary Network(プライマリーネットワーク)

アバランチは、「Primary Network」と呼ばれる「Xチェーン」「Cチェーン」「Pチェーン」の3つの相互運用可能なブロックチェーンが構築されています。
それぞれが異なる役割を分担することで、トランザクションの処理が混雑しないように工夫されています。

X-Chain

Exchange Chain(X-Chain)は、ネイティブトークンのAVAXやその他の資産を生成・交換するために採用されています。
EthereumのERC-20標準と同様に、これらのトークンは標準化された一連のルールに従っています。
アバランチコンセンサスメカニズムを使用します。

資産の形成およびトレードに特化したチェーンで、スマートコントラクトには対応していません。

ブロックチェーンではなくDAG(Directed Acyclic Graph:有向非巡回グラフ)構造となっています。

C-Chain

Contract Chain(C-Chain)とは、EVM(イーサリアム仮想マシン)実装のチェーンであり、イーサリアムとの互換性を担当していて、スマートコントラクトの実行が可能です。
イーサリアムの開発言語であるSolidityで書かれたスマートコントラクトをアバランチに移行する際の、デプロイ(配置)と実行をサポートしています。
dApps(分散型アプリケーション)の構築には、このチェーンを利用します。

P-Chain

Platform Chain(P-Chain)は、すべてのバリデータ(取引承認者)とサブネット(複数のノードから構成されるネットワーク)の操作を担当します。
新しいブロックチェーンとサブネットの作成、サブネットへのバリデータの追加、ステーキング操作、その他のプラットフォームレベルの操作をサポートしています。

出典:Avalanche - Whitepaper

処理の応力の高さ

アバランチコンセンサスとプライマリーネットワークを組み合わせることで、Avalancheでは、1秒間に最大で4,500ものトランザクションを処理できると言われています。
この4,500という数字は、ビットコインの7TPS(Transaction per Second;1秒間に処理できるトランザクション数を表す単位)や、イーサリアムの14TPSよりも遥かに大きい数であり、1,700〜2,400TPSのVISAと比較しても、その処理能力がいかに高いかが窺えます。

出典:アバランチ公式サイトから

おわりに

今回は、イーサリアム・キラー系プロジェクトが発展を続けている中、2021年以降急成長を遂げているプロジェクトのひとつ、「Avalanche(アバランチ)」について書きました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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