暗号通貨モネロ(XMR)について①くりぷと知っ得情報1月21日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
今回からは、プライバシー重視の分散型暗号通貨と言われる「モネロ(XMR)」について書いていきます。
最大の特徴は、トランザクション(取引)の匿名性で、送金元・送金先・金額が公開されず、秘密性のあるキャッシュ(現金)に近い匿名性を持つと言われ、前号までシリーズでお伝えした「ジーキャッシュ(Zcash)」との共通点も多い暗号通貨になります。

モネロ(XMR)基本情報

ブロックチェーン名称

モネロ(XMR)

トークン名称/ティッカーシンボル(通貨)

Monero/XMR

開発者(創設)・企業

thankful_for_today(サンクフル・フォー・トゥデイ)Riccardo “fluffypony” Spagni(リカルド・フラッフィポニー・スパーニ)

ローンチ(公開)日

2014年4月18日

発行枚数(最大供給量)

♾️(発行上限の設定なし)

循環供給量(※)

18,446,744.07 XMR

コンセンサスアルゴリズム

Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク / PoW)

価格(日本円)

98,169円

世界時価総額ランキング

12位

時価総額(日本円)

約1兆8,089億円

ホワイトペーパー(事業計画書)

https://github.com/monero-project/research-lab/blob/master/whitepaper/whitepaper.pdf

2026年1月20日現在、CoinMarketCap調べ

(※)循環供給量とは、市場で流通し、公に取引されている暗号通貨の量。株式市場で言えば、流通している株式に相当します。

モネロ(XMR)誕生の歴史

「モネロ(XMR)」は、同じくプライバシー重視の暗号通貨、バイトコイン/Bytecoin(BCN)からのフォーク(分岐)として立ち上がったもので、2014年4月18日にローンチ(公開)されました。

なので‥‥先ずは、

バイトコイン/Bytecoin(BCN)について、書いていきましょう。

Bytecoin(BCN)/バイトコイン

Bytecoin(BCN)は、2011年〜2012年頃、個人名・チーム名ともに完全匿名で、「CryptoNoteチーム」を名乗る集団が関与していたとされ、ビットコイン(BTC)の「サトシ・ナカモト」以上に、正体不明と言われています。

2012年7月に、「CryptoNote論文」とともにBytecoin(BCN)が突如公開され、この 「CryptoNote技術」が、後の「モネロ(XMR)」を含む多くの匿名通貨の土台になります。

てことは?

Bytecoin(BCN)の元となった、

「CryptoNote論文」のことに触れずして、「モネロ(XMR)」のことは語ることができないようです。

CryptoNote /クリプトノート

CryptoNoteは、暗号通貨の「匿名送金」を実現するための基盤技術(プロトコル)で、2012年に匿名の研究者グループが論文として発表したもので、「誰が・誰に・いくら送ったか」を

ブロックチェーン上で「分からなくする」

ことを目的とします。
CryptoNoteは、次の3点で取引の追跡を不可能に近づけます。

①リング署名

リング署名は、2001年、ビットコイン(BTC)が誕生する約10年前に、暗号学の学術論文として発表された技術です。
 

開発者は、

🔹Ronald Linn Rivest(ロナルド・リン・リベスト)氏
アメリカの計算機科学者であり、「公開鍵暗号方式RSA」(※)の共同発明者として知られます。
🔹Adi Shamir(アデイ・シャミア)氏
イスラエルの暗号理論家・計算機科学者。
1977年にRonald Linn Rivest(ロナルド・リン・リベスト)およびLeonard Adleman(レオナルド・エーデルマン)と共に公開鍵暗号方式RSAを発明し、現代暗号学の基礎を築きました。
🔹Yael Tauman Kalai(ヤエル・タウマン・カライ)氏
イスラエル出身の暗号理論研究者で、Microsoft Research上級主席研究員およびMassachusetts Institute of Technology(MIT)(マサチューセッツ工科大学)准教授。

(※)RSAは、インターネット上の安全な通信(SSL/TLSなど)の基盤となっている技術で、1977年に発明されたこの公開鍵暗号方式です。RSA暗号の共同発明者は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の以下の3名で、彼らの姓の頭文字を取って「RSA」と名付けられました。Ronald Linn Rivest(ロナルド・リン・リベスト)、Adi Shamir(アデイ・シャミア)、Leonard Adleman(レオナルド・エーデルマン)。

リング署名は、

このグループの誰かが署名したのは分かるけど、誰かは分からない

という署名方式です。

🔶署名者は自分+他人の公開鍵を混ぜて署名。送信者を複数人の中に混ぜて、誰が送ったか分からなくする。

🔶検証はできるが、本人特定は不可能。

CryptoNoteがリング署名を採用し、それを実用レベルに押し上げたのが「モネロ(XMR)」というわけです。

リング署名は、2001年に生まれ、2010年代にモネロ(XMR)で開花

②ステルスアドレス(Stealth Address)

ステルスアドレスは、2012年にCryptoNote設計思想の一部として登場した技術です。
受信者の本当のアドレスを、チェーン上に一切表示しない仕組みで、支払いごとに「一度きりの使い捨てアドレス」 を自動生成するので、外部から見ると誰が受け取ったのか分からない仕組みで、受信者本人だけが自分宛てと認識できる技術です。
 

開発者は、

🔹Nicolas van Saberhagen(ニコラス・ファン・セイバーハーゲン)氏
2012 年に発表されたホワイトペーパー「CryptoNote」の著者として知られる匿名(もしくは偽名)の人物であり、プライバシー重視の暗号通貨モネロ(XMR)の基盤を築いた存在とされる。
ステルスアドレスは2012年にCryptoNoteで確立され、受信者を隠すという概念を仮想通貨に持ち込み、Moneroで実戦投入された匿名化技術です。

受信者のアドレスを毎回変えて、誰が受け取ったか分からなくするステルスアドレス

③Confidential Transactions(CT)/機密の取引

Confidential Transactions(CT)は、

送金額をブロックチェーン上で隠したまま、正当性だけを検証できる技術です。

提唱者は、


🔹Gregory Maxwell(グレゴリー・マクスウェル)氏
オープンソース開発者であり暗号学研究者。特にビットコイン(BTC)の主要開発プロジェクト「Bitcoin Core」に長年貢献したことで知られる。
Confidential Transactions(CT)で、何ができるかというと、
🔶送金金額が見えない
それでも、
🔶不正な増刷がない
🔶入力と出力の合計が一致
といった、「ジーキャッシュ(Zcash)」などの 「zk-SNARKs」系にも「金額秘匿は必須」という思想を残しました。

CTは「金額を隠しても、取引は正しいと証明できる」

なぜモネロ(XMR)は Bytecoin をフォークしたの?

「モネロ(XMR)」の誕生までに、「CryptoNoteチーム」を名乗る集団が関与していて、その後、個人名・チーム名ともに不明のBytecoin(BCN)が誕生し、そこからフォーク(分岐)して、「モネロ(XMR)」は誕生しましたが、
 

その理由は?

理由は明確で、主に信頼性と公平性の問題

でした。

① 不自然なプレマイン(事前採掘)公開時点で 約82%のBCNが既に採掘済みで、長期間の「秘密マイニング」が行われていた疑惑があり、公平な分散がなされていなく、内部者が過剰に利益を得ているという強い不信感がありました。

② 開発の不透明性開発者が完全匿名で、コミュニケーションがほぼ皆無なことと、改善提案やバグ修正が進まないなど、開発の不透明さがありました。

③ コミュニティ主導開発への不安CryptoNoteの技術自体は優秀だけど、Bytecoin(BCN)体制では健全な進化が困難。

「技術は継承するけど、運営思想は変えよう」


これが「モネロ(XMR)」誕生の本質です。

Bytecoinはどうなった?

Bytecoin(BCN)の現在の開発状況は、事実上、停止状態に近く、主要取引所からは上場廃止または取扱停止になり、流動性は極めて低い状況になっています。

ですが‥‥

歴史的役割として大きな存在で、技術思想は「モネロ(XMR)」に完全継承

されました。

Bytecoin(BCN)は、プロジェクトとしては失敗だったかもしれませんが、

技術の原点「CryptoNote」を世に出した功績は極めて大きい

と言えます。

おわりに

次回は、「モネロ(XMR)」の創設、開発者について書いていこうと思います。
お読みいただきありがとうございました。