ブロックチェーンのレイヤー2とは①くりぷと知っ得情報1月24日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

先回は、ブロックチェーンのトリレンマについて書きました。

ビットコインやイーサリアムのようにパブリックブロックチェーンとして確固たる地位を確立したプロジェクトの場合、誰でも参加可能な「分散化」とサイバー攻撃に耐えうる「セキュリティ」が担保されていますが、その反面、これらを優先すると処理速度が下がり、手数料が高騰するという「トリレンマ」が生じます。

「分散性」と「安全性」を優先することで、膨大なデータ量を処理するのに時間がかかる、データを処理しきれない「スケーラビリティ問題」というトリレンマがあるよ、ということでした。

そのスケーラビリティ問題に対処するためのソリューション(解決策)として、生まれたのがレイヤー2(セカンド)という概念、仕組みです。

今回は、レイヤー2についてです。

レイヤー1とレイヤー2

レイヤー1は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような主要なブロックチェーン自体を指します。

それに対し、レイヤー2(レイヤーセカンド)は、これらの主要なブロックチェーンの上に構築され、追加の機能やスケーラビリティ向上を提供する技術やプロトコル(規格)のことを言います。

特定のデータのみを処理するために開発されているものや、すべてのデータを丸ごとレイヤー2で処理するものなどがあります。

ビットコインやイーサリアムなどで使用されているブロックチェーンと合わせて利用することで、膨大な量のデータ処理を行うことや、よりスピード感のあるデータ処理を行うことができるとされています。

レイヤー2と一口に言っても、様々なパターンの技術があり、特定のデータのみを処理するために開発されているものや、すべてのデータを丸ごとレイヤー2で処理するものなど、いくつものレイヤー2プロジェクトが進められています。

大雑把にいうと、レイヤー1とは「ブロックチェーン」のことで、レイヤー2は、ブロックチェーン以外の「オフチェーン」を意味し、メインネットと同じセキュリティレベルを持ち、メインネットワークがオフチェーンの元帳を検証できる状態のことを言います。

ビットコインの「レイヤー2(セカンド)」

ビットコインのブロックチェーンは、一つのブロック生成に約10分かかります。

1ブロックあたりの容量も決まっているため、ビットコインの取引量が多くなると送金が滞るといったスケーラビリティ(拡張性)の問題がありました。

また、全ての取引をブロックチェーン上に記録しようとすると、そのたびにマイニング手数料がかかるため、少額な決済(マイクロペイメント)には向かないという弱点もありました。

ビットコインにおいては、これらの課題を解決するために、レイヤー1であるブロックチェーンとは異なるレイヤー2に置かれたオフチェーンで取引を実行する方法を進めています。

ライトニングネットワーク

オフチェーンは、ブロックチェーン上には記録されない取引のことを指すことは、既述の通りです。

スケーラビリティや手数料の課題を解決するために、全ての取引をブロックチェーン上に記録するのはやめて、ブロックチェーンの外(オフチェーン)で管理・取引を実行し、その最初と最後だけをブロックチェーンに記録するというがこのオフチェーン取引で、ビットコインの場合「ライトニングネットワーク」というレイヤー2ソリューションの実用化に向けて、開発を進めています。

開発者のタデウス・ドリジャ(Thaddeus Dryja)氏とジョセフ・プーン(Joseph Poon)氏が2016年、ブロックサイズを変更せずにネットワークで高速かつ、安価な取引を可能にするアイディアを提案しました。

それが、「ライトニングネットワーク」で、ビットコインのブロックチェーンの外部で取引を処理する技術です。

ライトニングネットワークのメリット

高度な取引

ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーンをオフチェーンで拡張することで、取引の処理速度が向上します。

ライトニングネットワークでは直接相手と取引を行うため、数秒以内で取引が完了します。

また、ビットコインのブロックチェーンシステムの負荷を減らします。

少額な決済にも対応可能

少額な決済(マイクロペイメント)にも、短時間で少ない手数料で送金ができるという利点があります。
ノード(※)同士を数珠のようにして複数経由すること(=ライトニングチャネル)で、チャネルが繋がっていない者同士でも高速かつ低コストでの送金が可能となります。 

(※)「ノード=node」とは、「結び目」や「節点」という意味です。コンピューターや通信の領域では、「ネットワークの接続ポイント」を意味します。

出典:The Bitcoin Lightning Network

低コストな取引

ビットコインのオンチェーン取引は、ブロックチェーンの手数料やマイナーへの報酬が発生しますが、ライトニングネットワークでは取引がブロックチェーン上に直接記録されないため、これらの手数料を大幅に削減できます。

スケーラビリティ問題の解決へ

取引をオフチェーンで直接相手と行うため、大量の取引が効率的に行えるため「ビットコインの普及」においては非常に重要な要素になります。

ライトニングネットワークの仕組み

例えばAからBにビットコインを1BTC送金するとします。この場合、ライトニングネットワークを利用すると、AとBが送金できる経路が、ビットコインブロックチェーンの外部に構築されるように設計されていて、この経路のことを「チャネル(Channel)」と呼びます。

事前にチャージが必要なプリペイドカードの仕組みをイメージしましょう。

事前に入金して、チャネルを開設できれば、入金額の上限の範囲で送金を実行できるようになるわけです。

AとBの間で複数回送金された際、各送金はチャネルで処理され、最初と最後の送金結果だけがビットコインのブロックチェーンに記録される仕組みです。

各チャネルに処理を分散させることで、メインチェーンの負荷を軽減できるわけです。

また、チャネルの開設と閉鎖には、AとB両者の署名が必要になっています。

この署名のことをマルチシグと言います。(※)

AとBのようなチャネルがネットワーク上には数多く作られていルので、ライトニングネットワークは「チャネルの集合体」と言えます。

(※)「マルチシグ」はマルチシグニチャー(Multisignature)の略で、トランザクション署名に複数の秘密鍵を必要とする技術です。秘密鍵が1つしかないシングルシグと比較すると、マルチシグには、セキュリティレベルが高く、秘密鍵を紛失した場合の取り扱いが簡単であるなどの利点があります。 マルチシグ技術は取引所やウォレットに使用されます。

ライトニングネットワークの事例

世界で初めてビットコインを法定通貨として認定したエルサルバドルでも、ライトニングネットワークが活用されています。

2021年9月にはライトニングネットワークを利用して、同国のスターバックスでビットコイン決済が行われた事例があります。

エルサルバドルのビットコイン導入は、ライトニングネットワークに対応した仮想通貨決済サービスを提供するStripeがサポートしています。

おわりに

今回は、ビットコイン(BTC)のレイヤー2、ライトニングネットワークについて、書きました。
レイヤー2について、さらに書いていこうと思います。
お読みいただいて、ありがとうございました。