ブロックチェーンのレイヤー2とは②くりぷと知っ得情報1月31日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

シリーズで、ブロックチェーンのレイヤー2について、書いています。

今回は、スケーラビリティ問題に悩まされる暗号通貨の代表格でもあるイーサリアム(ETH)のレイヤー2について、書いていきます。

前回までの記事

◻︎くりぷと知っ得情報1月17日号「ブロックチェーンのトリレンマとは」

◻︎くりぷと知っ得情報1月24日号「ビットコインのレイヤー2」


イーサリアムは、NFT(非代替性トークン)やDeFi(分散型金融)といった多くのユースケースが生まれる中、データ容量を一定にしているため、多くの人が一度にデータ送信をすると「詰まり」のような状態になるスケーラビリティ問題が顕著で、多くのチームやコミュニテイがこの問題に取り組んでいます。

イーサリアムのスケーリングに関する問題

イーサリアムのスケーラビリティ問題が、大きな話題になったのは、次の3つのタイミングでした。

2017年頃CryptoKitties(クリプトキティーズ)流行

DAppsやNFTゲームの先進的な存在として知られている、CryptoKitties(クリプトキティーズ)。

猫を売買・交配してイーサリアム(ETH)を稼ぐことのできるNFTゲームで、1,000万円以上稼いだプレイヤーも出たくらいのブームを起こしました。

2020年の夏のDeFiブーム

2020年の7-9月の暗投通貨のマーケットを大きく牽引したのは、DeFi(分散型金融)の銘柄だったことから、DeFiサマー(DeFiの夏)といわれています。

2020年2月に、分散型金融 (DeFi) 内にロックされた総価値(TVL=Total Value Lock)は10億ドルを超えましたが、2020 年のDeFiの夏に後押しされて、20倍になりました。
Uniswap(ユニスワップ)、PancakeSwap(パンケーキスワップ)、Aave(アーベ)といったDEX(分散型取引所)を使い、ユーザーが自身が保有している暗号通貨を、DEXの流動性プールに預け入れ、スワップ(交換)などのための流動性を提供し、その対価として報酬を受け取るイールドファーミング(流動性マイニング)に加え、レンティング(貸付)プラットフォームの「Compound」が、このブームを主導しました。

2021年の暗号通貨の時価総額の盛り上がり

ビットコイン(BTC)をはじめ、多くの銘柄が過去最高値(ATH)を更新する中、2021年はNFTサマーというトレンドも相まって、イーサリアムのガス代(送金手数料)の高騰といった、スケーラビリティ問題が顕著になりました。

イーサリアムのスケーラビリティ問題の解決策

レイヤー1の拡張

PoWからPoSへ移行

イーサリアムのレイヤー1は、ブロックの作り方が、2022年3月に「The Merge(マージ)」の実装によって、PoWからPoSへと移行しました。

PoWはブロックチェーンを維持するための演算や記録という仕事の量で暗号資産の運営に貢献するに対し、PoSはStake(ステーク)といってその暗号資産をどれだけ所有しているかによって運営に貢献する方法で、コンセンサスアルゴリズムと言います。

シャーディングの実装

「The Merge」の実装後、「The Surge」、「The Verge」、「The Purge」、「The Splurge」に取り組んでいくことになります。

現在進行中の「The Surge」は、レイヤー2や、シャーディングやロールアップなどを可能にすることで、ネットワークをよりスケーラブルにするシステムとなります。

「The Surge」の段階において、導入が見込まれているシャーディングですが、シャーディングとは、破片を意味する英単語シャード(shard)に由来し、イーサリアムのネットワーク全体を「シャード」=小さな部分に分割することで、ネットワークのスケーラビリティを高めることが狙いです。

Ethereum2.0のブロックチェーン(What you can do for Ethereum 2.0 a.k.a. shardingの17ページから)


さらに、ネットワークをシャードに分割するという部分は同じですが、取引増加のためにシャードを使う代わりに、
データのグループのスペースを拡大するためにシャードを活用するダンクシャーディングも注目されています。
今年の上四半期(3月頃まで)に実装されることで話題のイーサリアムのアップデート「Dencun(デンクン)」は、いくつか重要な改善が予定されています。
その中でも、最も注目されているものとして、レイヤー2からレイヤー1へのデータ転送のコストを削減し、結果としてトランザクション手数料を大幅に低下させるEIP-4844(※)「Proto-Danksharding(プロトダンクシャーディング)」があります。
前回の大型アップデート、シャンハイ(shanhai)で導入予定と期待されていましたが、スケジュール上の問題で後回しにされていました。そのため、このアップデート「Dencun(デンクン)」はより期待感が高まっています。

(※)EIPとは、Ethereum Improvement Proposalの略で、イーサリアム改善計画のこと。

レイヤー2技術「ロールアップ」イーサリアムのレイヤー2で現在積極的に活用されようとしている技術の中に、ロールアップ(Rollups)と呼ばれるものがあります。ロールアップを使用することで、レイヤー2で安全に、かつ素早くデータ処理を行うことができるとされています。ネットワークの混雑が顕著なイーサリアムのエコシステム内で活発に開発が進められていますが、ロールアップ技術自体は、イーサリアムに特有な概念ではなく、他のブロックチェーンにも適用可能です。
ロールアップ(Rollups)とは?ロールアップ(Rollups)とは、日本語では「巻き上げて束ねる」といった意味になります。
オフチェーンで処理された取引データを、ひとまとめに束ねてからメインチェーンに提出する仕組みとなっているため、このように呼ばれています。元々ロールアップの技術は、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するためにイーサリアムの考案者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏とライトニングネットワークの開発者ジョセフ・プーン(Joseph Poon)氏によって考案されたPlasma(プラズマ)という技術から派生しています。ロールアップはプラズマとは異なりデータ処理の一部をレイヤー2で行い、レイヤー1にも処理の一部を残してトランザクションの証明をレイヤー1で行うことが大きな違いです。
ロールアップの仕組みロールアップの仕組みをシンプルに説明していきます。

1、レイヤー2(オフチェーン)を使って、ユーザーがトラザクションを実行。2、レイヤー2で実行されたトランザクションデータは抽出され、圧縮される。3、 トランザクションが正当に実行されたことを示すために、レイヤー2で圧縮された複数のトランザクションのデータを、ひとまとめにしてレイヤー1へ提出。4、レイヤー2より提出されたデータは、レイヤー1に構築されているスマートコントラクトによって、トランザクションデータの真正性(正当性)が検証され、検証後、データが正当なものであればそのままレイヤー1のブロックに取り込まれる。


ロールアップの正当性を検証する方法イーサリアムでは、オプティミスティック・ロールアップ(Optimistic Rollups)やZKロールアップ(ZK-Rollups)などがロールアップを応用した代表的なレイヤー2技術です。次回は、このロールアップにおける正当性の検証技術について、書いていこうと思います。