証券会社が作った、新しいブロックチェーンRobinhood Chain⑤くりぷと知っ得情報10月14日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
証券会社、Robinhood Markets社が自社のサービス(株式トークンやDeFi機能)を動かすために作った「基盤・インフラ」Robinhood Chain(ロビンフッドチェーン)について、シリーズで書いています。

🔶Robinhoodは、なぜ自前のブロックチェーンをつくったのか?
くりぷと知っ得情報9月16日号🔶Robinhood Chainと、イーサリアム(ETH)、アービトラム(ARB)の役割分担
くりぷと知っ得情報9月23日号🔶「c(株式トークン)」について①
くりぷと知っ得情報9月30日号🔶「Stock Tokens(株式トークン)」について②
くりぷと知っ得情報10月7日号

前号では、Robinhood Chain上で発行されている、米国の有名企業の株価に連動する暗号資産「Stock Tokens(株式トークン)」が、24時間取引できる一方で、株式市場が閉まっている間は価格を正す仕組みが休んでしまうことを見てきました。(24時間・週5日)
では、その24時間の取引は、そもそもどこで行われているのでしょうか。
 

今回のテーマは、ずばり、これです。

UniswapがRobinhood Chainの中心にいる理由

現在、Robinhood Chainには様々なアプリが乗っていますが、「Uniswap(ユニスワップ)」が取引の中心的な存在になっています。
Robinhood Chainには公開時点で、主に次のようなアプリが乗っています。

取引所

Uniswap(ユニスワップ)

貸し借り

Morpho(モルフォ)/ ステーブルコインを預けて利息を得る(参考)

土台

チェーンリンク(LINK)/ 価格データ
アルケミー(Alchemy)/ 接続基盤
ビットゴー(BitGo)/ (資産の保管)(参考)

取引所はほかにもありますが、取引の中心になっているのがUniswap(ユニスワップ)です。

そもそもUniswapとは

Uniswap(ユニスワップ)は、イーサリアム(ETH)上で動く代表的な分散型取引所(DEX:Decentralized Exchange)です。
証券会社や取引所のような運営者が間に入るのではなく、「流動性プール」と呼ばれる、トークンをためておく共用の箱を使って、誰でも自動的にトークンを交換できる仕組みになっています。
イメージとしては、人がいない「自動両替機」です。
両替機の中には2種類の通貨が入っていて、片方が買われて減ると、もう片方の価格が自動的に増えるように計算されています。

この「プール」の中身や、そこにお金を預ける人(LP:Liquidity Provider)の話は、第6回・第7回で詳しく扱います。
今回は「Uniswapが、Robinhood Chainで取引の入り口になっている」という点に絞って見ていきましょう。

Robinhood Chainで起きていること

Robinhood Chainは2026年7月1日にメインネットが公開されましたが、その翌日にはUniswapも稼働を開始しています。
Uniswap自身は、自らを「Robinhood Chain上の主要なパブリックAMM(自動で価格が決まる取引所)」(※)と位置づけています。
AMM(Automated Market Maker)とは、流動性プールに対して数式(Uniswap V2の x*y=k など)で価格を自動決定する方式です。
そして公開から数週間のうちに、次のような数字が出ています。

Stock Tokensの取引の場の大半がUniswap

Robinhood Chainで株式トークンを交換する際は、トークンをためておく共用の箱(プール)が「自動両替機」の役割を果たします。
報道によると、この両替機に預けられているお金のうち、約99%がUniswapのものです。
ただし、株式トークン向けの両替機に集まっている資金の総額は、2026年8月時点で数千万ドルほど(参考)で、チェーン全体に預けられている資産に比べると、まだ小さな領域になります。(参考)

取引量の急拡大

Uniswapでの「Stock Tokens(株式トークン)」の取引高は、メインネット公開から約6週間で、累計約15億ドルに達したと報じられています。(参考)

Uniswap全体の中での存在感

2026年9月20日時点の直近30日で、Uniswap全体の取引高の約4割をRobinhood Chainが占め(参考)、イーサリアム(ETH)本体を初めて上回ったと報じられています(参考)

取引の約60%は米国株式市場の閉場中

Stock Tokensの取引のうち、約6割が通常の市場時間外に行われているとの報道があります。
前号で見た「市場が閉じている間の価格のズレ」が、まさに多くの取引に関わっている、ということになります。(参考)

なぜUniswapが中心になったのか?

ここは少し順を追って見ていきましょう。

Robinhood Chainは「場所」であって、取引所ではない

Robinhood Chainは、Stock Tokensが発行され、流れる「道路」のようなものです。
ただ、トークンが存在することと、それが売り買いできることは別の話です。道路ができても、品物を売り買いする「市場」が別に必要になります。

その「市場」を最初に用意したのが、Uniswap

Robinhood Chainが一般公開(メインネットの本番稼働)されたのは、2026年7月1日で、その翌日の7月2日には、「Uniswap(ユニスワップ)」もこのチェーン上で使えるようになりました。
つまり、チェーンができてほぼ同時に、トークンを売買できる取引所が用意されていたことになります。
しかも、Uniswapは、Robinhood Chainのメインネット公開に合わせて、「v2」・「v3」・「v4」・「UniswapX」という主要な4つの版をすべて動かし始めています。(この版ごとの違いは、次回、プールの仕組みで触れようと思います)
これらは取引の仕組みが少しずつ異なる「世代違いの自動両替機」のようなものですが、Stock Tokensの売買にも、ブラウザで使うウェブアプリ、Uniswap公式のウォレット、他のサービスが組み込めるAPIのすべてで、最初から対応していました。
つまり「どこから来ても、初日から株式トークンを売買できる」状態が整っていました。

新しいチェーンには「プール型」の取引所が向いている

従来の取引所は、売りたい人と買いたい人の注文を突き合わせる「板」の形式です。これには、常に売り買いの注文を出し続けてくれる業者(マーケットメーカー)が必要です。

Uniswapは、プールにトークンが入っていれば、誰でもすぐに交換できる仕組みで、約190銘柄が一度に登場した立ち上げ期には、この方式が使いやすかったと考えられます。(参考)

人が集まると、さらに人が集まる

プールに預けられたお金が多いほど、大きな注文でも価格が動きにくくなり、取引しやすくなります。
取引しやすい場所には人が集まり、人が集まればプールにお金も増えます。

最初にこの好循環に入ったことが、現在の約99%というシェアにつながっていると見られます。

Robinhoodが選んだわけではない

ここは誤解しやすい点です。
Robinhood Chainは誰でもアプリを作れる「パーミッションレス(許可不要)」なチェーンで、公式ドキュメントにも、Stock Tokensの売買場所としてUniswapを指定する記載は見当たりませんでした。
Uniswap側が自らを「主要なパブリックAMM」と位置づけて素早く展開し、結果として最大の取引の場になった、というのが実態に近そうです。
まとめると、

道路(チェーン)はRobinhoodが作り、そこに最も早く、最も広く市場を開いたのがUniswap

だった、ということです。

「中心」の意味に注意

ここで言う「中心」は、あくまで分散型取引所(DEX:Decentralized Exchange)での話です。
チェーン全体に預けられている資産の量(TVL:総預入残高)で見ると、DefiLlamaでは貸し借り(レンディング)サービスのMorpho(モルフォ)などが上位にあり、Uniswapは3位前後です(2026年10月12日時点)。

「取引の入り口」としてはUniswapが圧倒的でも、「お金が集まる場所」は別のアプリにもある、ということです。
また、これらの数字は日々変動し、集計するサイトによっても異なります。

おわりに

UniswapがRobinhood Chainの中心にいるのは、Stock Tokensを含む取引の「入り口」を、公開直後から幅広く(主要な全バージョン、約190銘柄)用意し、そこに資金と取引が集まったためと考えられます。Robinhood Chainは株式トークンを発行する基盤ですが、オンチェーンでの取引の主な舞台は、Robinhood Markets社自身ではなく、Uniswapという外部の取引所が担っています。
次回は、なぜUniswapにこれほど大量のプールが生まれているのかを、「流動性プール」の仕組みから解説しようと思います。
お読みいただいてありがとうございまいした。