大きく成長するカーボンクレジット市場とブロックチェーン技術③くりぷと知っ得情報(7月5日号)

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

7月に入り、梅雨明けが待ち遠しいですね。

なんか、雨の振り方とか、以前にも増して自然の脅威を感じます。

世界が、各国の企業が、国民が一体となってエネルギー改革、温暖化効果ガスの吸収・削減について、向かい合わなければならない理由がわかります。

さて、今後大きな市場になっていくカーボンクレジット市場とブロックチェーン技術について、シリーズで書いてます。

今回と次回は、カーボンにニュートラルに向けて、例えば日本の各企業に対しての認定制度SBTとSBTiについて書いていきます。

前回までの記事

カーボンニュートラルに向けての、世界の動き

カーボンニュートラルとSDGs

カーボンニュートラルに向けての、目標‥‥SBT

SBTとは、企業が環境問題に取り組んでいることを示す目標設定のひとつで、2015年のパリ協定で誕生しました。

SBT=Science Based Targetsの頭文字を取った言葉で、「科学的根拠に基づいた目標設定」といった意味です。

ここでいう目標設定とは、2015年のパリ協定で定められた、いわゆる「2℃目標」のことを指します。

最新の科学によれば、気候危機の被害を最小限に抑えるためには、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5度に抑えることが重要であることがわかっています。

パリ協定では、最新の気候科学に基づき、産業革命以来の地球の気温上昇を、 今世紀後半までに 2℃よりも十分低く抑え、1.5℃に抑えることを目指すことに合意しています。(※)

その1.5度目標の達成には、世界全体でCO2を2030年に半減、2050年に実質ゼロにすることが必要とされていますが、この目標の達成には、温室効果ガスの主要な排出者である企業が中心となって、確実に排出削減を進めていくことが極めて重要となります。

一方で、個別の企業にとって、1.5度目標を達成するには具体的にどうすればよいのか、判断することは容易ではありません。

そこで、このSBTの目標を達成するための取り組みとして、SBTiが生まれました。

(※)産業革命以前(1850~1900年)の水準から比べると、世界の年平均気温は約1.1度上昇していることが分かっています。

SBTとSBTi

SBTについては、前述の通りSBTは「Science Based Targets」の略で、パリ協定に基づいて設定された温室効果ガス排出削減目標を指します。

SBTは5~15年先を目標として企業が設定可能です。

SBTi(Science Based Targets initiative)

SBTiとは「Science Based Targets initiative(イニシアチブ=主導)」の略称です。

SBTiは、2015年にWWF(World Wildlife Fund:世界野生生物基金)、CDP(Carbon Disclosure Project:国際的な環境非営利団体)、WRI(World Resources Institute:世界資源研究所)、UNGC(United Nations Global Compact: 国連グローバル・コンパクト)により設立された共同のイニシアティブ機関です。

気候変動を防ぐとともに、ネットゼロ経済における企業の競争力を高めることを目的として、SBTiは企業が具体的にどれだけの量の温室効果ガスをいつまでに削減しなければいけないのか、科学的知見に基づいて目標を立てられるようなガイダンスを作っています。

さらに、SBTiは企業に対して科学的知見と整合した目標(SBT: Science-based target)を設定することを支援し、適合していると認められる企業に対しては、SBT認定を与えています。

SBTiは企業がSBTを設定することが当然となり、経済と環境が調和する社会を創り上げることを目標としています。

SBTの基準=SBTiが掲げる基準

SBTiが削減対象とする排出量については、事業者自らの排出だけではなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量(サプライチェーン)全ての削減を求めています。

サプライチェーン

サプライチェーンは原料の調達や製品の製造、販売、消費や廃棄などの一連の流れのことで、サプライチェーン排出量とはこのような組織活動のなかで発生する温室効果ガス排出量を指します。

それらのサプライチェーンで排出削減するべき温室効果ガスは、Scope1、Scope2、Scope3といった三つのカテゴリーに分類されています。

Scope1

自社の事業活動で、燃料の使用や製品の製造過程で事業者が直接排出する温室効果ガス(GHG=Green House Gas)の量を指します。

Scope2

他から供給されるエネルギーの消費を伴う事業活動のより間接的に排出される温室効果ガスの量を指します。

供給される電気などが算定対象となりますが、消費した電力について生成元をたどると、発電事業者によって燃料が燃焼されています。
その燃料燃焼による温暖化効果ガスの排出量も、間接的排出量として算定する必要があります。

Scope3

Scope1、Scope2以外の事業者のサプライチェーンにおける事業活動によって排出される温室効果ガスを指します。

購入した原料・部品について、それらが加工・製造される過程で、サプライヤーによって燃料が燃焼され、電気が消費された結果、温室効果ガスが発生しています。

また、例えば自動車販売会社が販売した自動車などは、消費者が利用する過程で燃料が燃焼され、温室効果ガス排出量が発生します。
こうしたサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量について、自社の経済活動が関わる部分を切り出してScope3として算定する必要があります。

サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量

SBTiが設定する短期目標の基準では、現在、基準年から5年~10年を目標年とする短期目標で、Scope1とScope2は気温上昇を1.5度以下に、スコープ3では2度より十分低く抑える目標のみで認定をうけることができます。

サプライチェーン排出量を知ることの重要性

現在日本の企業で、SBTに参加しているのは、584社(認定取得+コミット)です。(2023年6月22日現在)

サプライチェーン排出量の算定をすることで、自社の事業活動でどれくらいの温室効果ガスを排出しているのかが把握できます。

例えば、以前、花屋の店舗を経営してましたが、「店の電気の使用とか、車の利用には気をつけていたけど、花の生産や、輸送などの仕入れ、資材に関連する温室効果ガス排出量には着目していなかった‥‥」

サプライチェーン排出量に着目することは、温室効果ガスの削減意識が高まり、温室効果ガス削減の取り組みへの積極性が出てきます。

また、事業活動全体での温室効果ガス削減にはサプライヤーなど取引先との連携も必要です。

複数の企業が協力して取り組みを進めれば、より効果的な環境負荷を減らすための施策が行えるわけですね。

おわりに

企業のサプライチェーン全体での排出削減が求められていく中で、今後は取引先企業から自社の削減目標の開示や評価が要求されることとなります。

SBT認定を受けていれば、企業は自信をもって取引先に対して自社の削減目標を開示することができます。

また、SBT認定を取得することで、消費者や投資家から選ばれる企業になれるかもしれません。

次回のくりぷと知っ得情報でも、今回の続きを書いていきます。

お読みいただいてありがとうございました。