大きく成長するカーボンクレジット市場とブロックチェーン技術⑥くりぷと知っ得情報(7月26日号)

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。

梅雨もあけ、いよいよ夏本番ですね。

今年の梅雨は、雨量もさることながら、記録的な暑さとなりました。

まだ、これから夏本番。無理をせずご自愛ください。

さて、今回からはやっとタイトルにもある「カーボンクレジット」について、書いていきます。

この、カーボンクレジットについては、時代の流れや、世界の流れがわからないと、なかなか理解しにくいので、先回まで5回にわたって、その流れについて書いてきました。

前回までの記事

①カーボンニュートラルに向けての、世界の動き

②カーボンニュートラルとSDGs

③SBTとSBTi、サプライチェーン排出量について

④「RE100」「EP100」「EV100」というイニシアチブ、「TCFD」という情報開示タスクフォースについて

⑤中小企業版SBT認定について

自分に関係ないと言ってる場合はない⁉︎カーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは、CO2の「排出量と除去率・吸収率を中立させる」こと、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするという考え方でした。

そして、日本は、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを、表明、世界に向け宣言しています。

カーボンニュートラルを実現するために、日本の企業で99.7%を占める中小企業に対して、中小企業版SBT認定の取得サポートが加速していますし、個人宅の太陽光パネルと蓄電池導入についても、各都道府県単位で補助金制度がスタートしているように、私たち個人に対しても、今後様々な課題が出てきそうです。

カーボンオフセット〜カーボンクレジット

カーボンニュートラルに向けて、様々な経済活動におけるCO2の排出削減への取り組み、また、CO2の吸収に関わる活動への取り組みや投資を行うことなど、違った形で「埋め合わせ=オフセット」しようという考え方があり、これを、カーボンオフセットと言います。

カーボンオフセットには、再生可能エネルギーの開発や使用により、CO2の排出量そのものを削減する「排出削減」の活動と、森林の保護や、植林によってCO2の吸収を促す「森林吸収」への活動があります。

活動によって削減や吸収されたCO2の量は、数値化され、市場での取引を可能とした「クレジット」として売買する方法があり、このことを「カーボンクレジット」と言います。

クレジット(credit)とは、信用・信頼・貸し付けを意味しますが、ここでのクレジットは温室効果ガスの排出削減量や、吸収量に応じて発行され、他の企業や国と取引することを可能にしたものです。

つまり、カーボンクレジットとは、「温室効果ガスの削減量を売買する仕組み」です。

航空業界や電力業界、エネルギー業界など、温室効果ガスの排出量を削減するのが難しい業界もありますが、これらの業界の企業は、カーボンクレジットを購入し、排出量削減に貢献し、アピールできる形になっています。

カーボンクレジットの二つの取引制度

カーボンクレジットは、温室効果ガスの排出削減量を売買するにあたって二つの取引制度が設けられています。

ベースライン&クレジット制度(削減量取引)

ベースライン&クレジット制度は、温室効果ガスの「削減量」を取引する制度です。

例えば、ある工場で使用していたボイラーを、よりエネルギー効率の良い新しいボイラーに交換した場合。

この場合に、元々のボイラーを使用し続けた場合の排出見込量(ベースライン排出量等)と、新しいボイラーに交換した場合の排出量(プロジェクト排出量等)の差分がクレジットとなります。

MRV(測定・報告・検証)を経て、国や企業等の間で取引できるよう認証する制度です。

MRVとは、Measurement, Reporting and Verification の略語であり、温室効果ガス排出量の測定、報告及び検証」のことを指します。

把握した排出量の正確性や信頼性を確保する一連のプロセスといえます。

キャップ&トレード制度(排出権取引)

キャップ&トレード制度は、温室効果ガスの「排出権(枠)」を取引する制度です。

政府が炭素の総排出枠を定め、それを事業者に割り当てて、事業者間でその枠の取引を行う制度となります。
キャップとは、この場合「上限」を意味します。

例えば、東京都では2010年度から、条例に基づいた取り組みとして、大規模事業所に対し温室効果ガスの排出削減が義務付けられています。

事業所ごとに排出可能な量が定められており、自らの対策によって削減できない分を、クレジットとして余裕のある事業所から購入できる仕組みで、温室効果ガスを多く排出する産業への規制対策的な側面と言えます。

カーボンクレジットレポートから

カーボンクレジットの仕組み

カーボンクレジットや証書には、法律や国等の制度により認証・発行されるものと、民間機関によって認証・発行されているものが存在します。

国際的なクレジット

CDM(クリーン開発メカニズム)

CDM(Clean Development Mechanismの略)は、途上国で実施された排出削減プロジェクトに、先進国が投資する形式のカーボンクレジット制度です。

1997年採択・2005年発効の京都議定書により規定されており、国連が主導しています。技術や資金を提供した先進国は、それにより削減できた炭素量を自国の削減量として計上し、途上国の持続的な発展にも寄与できる仕組みです。

JCM(二国間クレジット制度)

JCM(Joint Crediting Mechanismの略)は、二国間クレジット制度と言われ、日本の持つ先進的な低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラなどを途上国に提供し、その成果をクレジットとして二国間で分け合う制度です。

経済産業省「JCM(二国間クレジット制度)」

二国間クレジット(JCM)とクリーン開発メカニズム(CDM)の違いは、成果の一定の割合を支援した側の国の排出枠へ移植(加算)する点です。

二国間クレジット(JCM)制度では削減量をクレジットとして取引きしますが、クリーン開発メカニズム(CDM)では温室効果ガス排出枠を取引きします。

日本政府・自治体によるクレジットメカニズム

J-クレジット

日本政府によるクレジットメカニズムとして、JCM(二国間クレジット制度)のほかにJ-クレジットがあります。

J-クレジットでは、クレジット創出者が行った温室効果ガスの排出削減・吸収増加につながる取り組みを、国(経済産業省、農林水産省、環境省)が認証します。そこで認証されたクレジットを、クレジット購入者が購入し、自社の削減量として公表することができる仕組みになります。

クレジットの創出者は、企業・地方自治体・農業者・森林保有者など、また、購入者は企業・地方自治体等が想定されます。

都道府県(地方自治体)による制度

地域版Jークレジット制度とも言います。

地方公共団体は、Jークレジット制度の制度文書に沿って温室効果ガス排出削減・吸収量をクレジットとして認証する「地域版J-クレジット制度」の運営を行うことができます。

なお、地域版J-クレジット制度において認証された地域版J-クレジットは、国が認証したJ-クレジットと同様にJ-クレジット登録簿で管理されます。

おわりに

今回は、カーボンクレジットの取引制度、その仕組について書きました。

次回は、この続きについて書いていこうと思います。

お読みいただいてありがとうございました。