RWA銘柄ステラ(XLM)について③くりぷと知っ得情報6月11日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、RWA(Real World Assets:リアル ワールド アセット)について書いています。

RWAは、株式・不動産・金・国債などの金融資産=「現実世界の資産」をブロックチェーン技術を使って、トークン化する技術・概念のことになります。

🔶RWAが誕生した背景について
くりぷと知っ得情報2月26日号🔶RWAを支える技術=オラクル(Oracle)について
くりぷと知っ得情報3月5日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の概要くりぷと知っ得情報5月28日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の特徴
くりぷと知っ得情報6月4日号

ステラ(XLM)は、「誰でも簡単に送金・資産交換ができる世界」を目指すプロジェクトで、特に新興国での利用や金融包摂(貧困や差別などによって金融サービスから取り残され、経済的に不安定な状況にある人々が、基本的な金融サービスにアクセスできるようにする取り組みのこと)に強くフォーカスしています。
リップル(XRP)と似たビジョンを持ちながらも、非営利的でオープン性の高い姿勢が特徴です。
今回は、前回に引き続き、ステラ(XLM)の特徴と言えるコンサンセスアルゴリズムについて、その提唱者について、さらに、ステラ(XLM)の社会実装について、書いていこうと思います。

前号おさらい

ステラ(XLM)のコンセンサスアルゴリズムの特徴である、Stellar Consensus Protocol(ステラコンセンサスプロコトル:SCP)について、従来のBFT(ビザンチン将軍問題:Byzantine fault tolerance)との違いを書きました。
従来のBFTは、ネットワーク全体でノード構成が固定、全ノードが事前に知られている状態で、合意形成に全ノードの事前登録と同意が必要なため、固定された少人数の信頼で全体が一つのQuorum(クォーラム)となって合意を得ます。
Quorum(クォーラム)とは定足数という意味で、ネットワーク全体が合意に達するのに必要な十分なノードの集合を意味し、全体でのコンセンサス形成の単位のことです。
一方、SCP(Stellar Consensus Protocol)は、各ノードが信頼する相手を決め、重なり合いから合意を作るQuorum Slice(クォーラムスライス)という「信頼するノードのリスト」を形成し合意を作る、という柔軟で分散的な特徴を持っています。

その結果、ネットワーク構成がオープンで柔軟になり、Quorum Slice(クォーラムスライス)の重なりによって、ネットワーク全体がBFT的合意に至るというものです。

「音楽フェス実行チームが”メインアクトを誰にするか?”を決める場合」という実例で説明しました。

SCP(Stellar Consensus Protocol)提唱者

Stellar Consensus Protocol(ステラコンセンサスプロコトル:SCP)は、スタンフォード大学のDavid Mazières(デイビッド・マジエール)によって提案された、世界初のFederated BFT=連合型ビザンチン合意といえる仕組みを提唱しました。

Federated BFT(連合型ビザンチン合意)

Federated BFT(連合型ビザンチン合意)とは、各ノードが自分で信頼するノード(クォーラムスライス)を選び、部分的な信頼の重なりを通じてネットワーク全体で合意を形成する仕組みになります。

David Mazières(デイビッド・マジエール)

David Mazières(デイビッド・マジエール)は、スタンフォード大学のコンピューターサイエンス教授であり、Stellar Development Foundationの共同創設者兼チーフサイエンティストです。

2014年にStellar Development Foundationを共同設立後、Stellar Consensus Protocol(ステラコンセンサスプロコトル:SCP)を提案した第一人者です。

従来のBFT(ビザンチン将軍問題:Byzantine fault tolerance)アルゴリズムを拡張したFederated BFT(連合型ビザンチン合意)モデルの開発を主導しています。

Federated BFTは、

💡「一部ずつ信頼することで全体で合意」を可能にした、分散型のビザンチン合意アルゴリズム

ステラ(XLM)の社会実装の進捗

IBM「World Wire(アイビーエム・ワールド・ワイヤー)

IBM Blockchain World Wire は、以下を目的として開発された国際送金システムです。

  • 銀行間の送金をリアルタイムで低コストにする。
  • 通貨の交換をステーブルコインやデジタル通貨で行う。
  • 信頼できるステラ(XLM)ブロックチェーン基盤を用いる。
ステラ(XLM)の採用背景

IBMという大企業が、ステラ(XLM)チェーンを採用したのには、次の様な理由があります。

  • 高速で安価な送金(数秒〜数円以下の手数料)。
  • 国境を超えた決済に使われるのに最適な通貨トークン設計。
  • 信頼性のある合意形成(Stellar Consensus Protocol:SCP)
現段階での状況

2019年に一部銀行と試験運用を開始しましたが、規制・競争・銀行側の準備不足などの要因により本格展開には至らず、現在IBMとステラ(XLM)は、個別企業とのパートナーシップやCBDC(※)連携に軸足を移しつつあります。

(※)CBDCとは、「Central Bank Digital Currency」の略で、中央銀行が発行するデジタル通貨のこと。

Deloitte Digital Bank(デロイト・デジタル・バンク)

Deloitte(デロイト)は、2016年5月にニューヨークで開催されたConsensus2016(CoinDesk主催)で、ステラ(XLM)ネットワークを使ったクロスボーダー即時決済システム、「Deloitte Digital Bank」を発表しました。

ステラ(XLM)の採用背景

iOSモバイルアプリでIDスキャン後、約5秒で個人間送金。

また、法人向けには、請求書番号などを含むB2B(※)送金機能が利用可能という構成でした。

(※)B2B(Business to Business)とは、企業(法人)間で商品やサービスを取引するビジネスモデルのこと。

現段階での状況

「Deloitte Digital Bank」は、主にPoC(概念実証)レベル(※)のプロジェクトであり、商用ローンチには至っていません。

ただし、大規模商用展開には至らなかったものの、ステラ(XLM)を活用したブロックチェーン業務領域としてデジタルバンキングの先行事例になった点に意義があるといえます。

(※)PoC(Proof of Concept)とは、概念検証、試作開発に入る前段階の検証プロセスです。
PoCによって実現可能性が高く、期待通りの効果が見込めた段階で、試作開発などの実プロジェクトを始動するのが一般的です。
似た言葉に実証実験がありますが、明確な違いはありません。
PoCは技術・概念・アイデアの検証をする手法で、実証実験は実際の商品・プロダクトの検証をする手法になります

おわりに

今回は、ステラ(XLM)の特徴と開発者、そして、社会実装の状況について、書きました。
続きは、次回です。
お読みいただきありがとうございました。