RWA銘柄ステラ(XLM)について⑦くりぷと知っ得情報7月9日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、RWA(Real World Assets:リアル ワールド アセット)について書いています。

RWAは、株式・不動産・金・国債などの金融資産=「現実世界の資産」をブロックチェーン技術を使って、トークン化する技術・概念のことになります。

🔶RWAが誕生した背景について
くりぷと知っ得情報2月26日号🔶RWAを支える技術=オラクル(Oracle)について
くりぷと知っ得情報3月5日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の概要くりぷと知っ得情報5月28日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の特徴
くりぷと知っ得情報6月4日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の特徴と社会実装例
くりぷと知っ得情報6月11日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の社会実装例
くりぷと知っ得情報6月18日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の社会実装例
くりぷと知っ得情報6月25日号🔶RWA銘柄ステラ(XLM)の社会実装例、ステーブルコインの進化
くりぷと知っ得情報7月2日号

ステラ(XLM)は、「誰でも簡単に送金・資産交換ができる世界」を目指すプロジェクトで、特に新興国での利用や金融包摂(貧困や差別などによって金融サービスから取り残され、経済的に不安定な状況にある人々が、基本的な金融サービスにアクセスできるようにする取り組みのこと)に強くフォーカスしています。
リップル(XRP)と似たビジョンを持ちながらも、非営利的でオープン性の高い姿勢が特徴です。
今回は、ステラ(XLM)のについて、最終回になります。
ステラ(XLM)の提携企業の最新情報と、ステラ(XLM)技術によるステーブルコインの方向性、未来について書いていこうと思います。

ステーブルコインの進化(現在)

主に暗号通貨取引所での取引ペアや価値の退避手段として利用拡大してきたステーブルコインは、現在、リアル決済、国際送金、商用決済、報酬支払いなど、ユースケースは拡大しています。
また、VISA、 Mastercard、PayPalなど、大手も導入し始めています。

PayPal/PYUSD on Stellar(予定)

先月、PayPalは、自社発行のステーブルコイン「PYUSD」の、ステラ(XLM)チェーン対応を発表しました。
ステラ(XLM)の技術・設計思想が持ついくつかの「魅力的な特徴」が大きく関わっているようです。
その魅力とは‥‥

決済スピードの速さとセキュリティ

現在、 VISAの決済の確定までの平均処理時間は、約1〜2秒。1秒あたりの処理件数(TPS:Transactions Per Second)は、約24,000件です。
数字で比較すると、PayPalがステラ(XLM)に対して、魅力を感じた理由が見えてきます。

ブロックチェーン

確定までの平均処理時間

TPS(1秒あたりの処理件数

特徴

ステラ(XLM)

3〜5秒

約1000TPS

決済特化、軽量・低コスト

リップル(XRP)

3〜5秒

約1,500TPS

銀行・金融機関向けクロスボーダー決済

イーサリアム(ETH)

12〜15秒

約15〜30TPS

セキュリティ重視、ガス代が高い

ソラナ(SOL)

0.4〜1秒

最大50,000TPS(理論値)

超高速だが過去にダウン歴あり

ビットコイン(BTC)

10分

約7TPS

高セキュリティだが送金には不向き

PayPalは既にイーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)でPYUSDを展開していますが、上表のように

イーサリアム(ETH)は、セキュリティ重視だがコスト高

ソラナ(SOL)チェーンは、高速だが技術的トラブルの歴史

という点から、ステラ(XLM)については、グローバル少額決済向けに最適と役割分担を考えているようで、ステラ(XLM)は新興市場・個人送金・クロスボーダー決済の核として使われる可能性が高いとみているようです。

USDC on Stellar

米国のフィンテック企業、Circle(サークル)社が手がけているステーブルコイン、USDCは、2018年に始動。
アメリカ最大の暗号通貨取引所Coinbase(コインベース)を共同設立パートナーとし、USDCは「もっとも信頼されているステーブルコインの1つ」です。
すでに、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVX)、などのチェーン上で発行されていて、ステラ(XLM)チェーン上でも、2021年から導入、発行されています。

ステーブルコインの幅が広がる

USDCでは、2021年からステラ(XLM)チェーンを導入済みですが、Circle(サークル)社はステラ(XLM)と深い関係を築いており、既に多くのウォレット、交換所、クロスボーダー送金網でサポートされていて既にエコシステムを構築しています。

また、USDCは法人、DeFi、DEX、決済APIなどに強い基盤を持っています。

USDTと合わせて、整理してみましょう。

摘要

PYUSD

USDC

USDT

発行元

PayPal(金融大手)

Circle + Coinbase(米規制準拠)

Tether Ltd(香港)

主な顧客層

PayPal/Venmo(※)ユーザー、商用決済利用者

企業・金融機関、規制重視の機関投資家

個人投資家・取引所ユーザー

地域

米国中心、グローバル展開準備

米国・欧州・アジアなど規制準拠地域

グローバル(特に規制が緩い地域で強い)

用途

小額送金、商用決済、P2P決済

DeFi、クロスボーダー決済、取引ペア

取引所での取引ペア、資金移動

Web3対応

イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、 ステラ(XLM)(対応拡大中)

イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVX)、ステラ(XLM)ほか

イーサリアム(ETH)、トロン(TRX)、バイナンス(BSC)など多チェーン対応

企業導入

PayPal加盟店、Venmo、今後eコマース全体

Visa、Mastercard、MoneyGramなど

取引所・OTC業者が中心

流通量
(2025年6月時点)

約9億ドル

約320億ドル

約850億ドル

(※)Venmo(ベンモ)は、アメリカで人気のモバイル決済アプリで、主に個人間での送金や支払い、割り勘などに利用されています。
特に若年層を中心に普及しており、ソーシャルメディアのような機能も備えているのが特徴です。
PayPalはグローバル決済、Venmoは米国内ソーシャル送金。
両方がPYUSDを核に結びつき、Ethereum・Solana・Stellarのマルチチェーン対応へ進化中です。

「PYUSD」が既存のPayPal経済圏ユーザーにリーチすることで、ステーブルコインが今後さらに流通量を増やしていくことが予想できます。

VISAとMastercardのステーブルコイン戦略

さて、今度は、VISAと、Mastercardにおけるステーブルコイン戦略を比較してみます。

摘要

VISA

Mastercard

中心となるコイン

USDC

USDC、PYUSD、その他複数

対応ブロックチェーン

イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)

イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、
ステラ(XLM)‥‥予定

用途

商用決済、クロスボーダー送金、企業間清算

商用決済、P2P送金、DeFi接続

パートナーシップ

Circle(USDC)、Worldpay(※)等

PayPal(PYUSD)、MoneyGram、Paxos等

特徴

B2B/B2C送金の即時性重視

消費者向けP2P決済やステーブルコイン普及

規制対応

規制準拠に慎重、銀行・企業向け中心

ユーザーKYC強化(Crypto Credential導入)

(※)Worldpay(ワールドペイ) は、世界140カ国以上にネットワークを持つ大手決済サービスプロバイダです。
オンライン決済や実店舗での決済処理、マルチカレンシー対応、様々な決済方法を提供しており、グローバルなビジネス展開をサポートしています。

ステーブルコインの進化(未来)

ステーブルコインの未来について予測できることは、VISAやMastercardやPayPalなどの企業と、自治体(地域通貨)、さらに国(CBDC:Central Bank Digital Currency=中央銀行デジタル通貨)が、三層で公共インフラ化し、公共料金・社会保障・国際送金を変革していくものと思われます。
また、USDC、PYUSD、USDTなど主要ステーブルコインが、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ステラ(XLM)、トロン(TRX)など複数ブロックチェーン上、マルチチェーンで発行・利用可能といった、マルチチェーン対応が加速、互換性が進むと思われます。

摘要

USDC

PYUSD

USDT

Ethereum(ERC-20)

✅対応

✅対応

✅対応

Solana

✅対応

✅対応

✅対応

Stellar

✅対応

🔜対応予定

❌ 未対応

Polygon

✅対応

❌ 未対応

✅対応

Arbitrum

✅対応

❌ 未対応

✅対応

Optimism

✅対応

❌ 未対応

✅対応

Tron

❌ 未対応

❌ 未対応

✅対応

Avalanche

✅対応

❌ 未対応

✅対応

Algorand

✅対応

❌ 未対応

❌ 未対応

Base(Coinbase)

✅対応

❌ 未対応

❌ 未対応

BNB Smart Chain

✅対応

❌ 未対応

✅対応

Hedera

✅対応

❌ 未対応

❌ 未対応

おわりに

VISAやMastercardといった大手カードブランドが、自社発行または協業ステーブルコインを使ったカード決済を展開することで、「クレカ時代」から「ステーブルコイン時代」への橋渡しが加速しています。

次回からは、REA銘柄「Ondo(オンド)」について、書いていこうと思います。
お読みいただいてありがとうございました。