暗号通貨の未来を拓くKaspa(カスパ)②くりぷと知っ得情報10月23日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
今回も、暗号通貨「Kaspa(カスパ)」について、書いていきます。
先回は、「ヨナタン・ソンポリンスキー(Yonatan Sompolinsky)氏とアビブ・ゾハール(Aviv Zohar)氏のKaspaに関連する最初の論文、「GHOST(ゴースト)プロトコル論文」=「Secure High-Rate Transaction Processing in Bitcoin」について、書きました。
今回は、その後のKaspaの開発者による論文について、書きます。
Kaspa考案者とその最初の論文については、くりぷと知っ得情報10月16日号
Inclusive Block Chain Protocols(2015)
2013年の「GHOST(ゴースト)プロトコル論文」公開から2年後の2015年、さらに進化させた
「Inclusive Block Chain Protocols」
(包括的なブロックチェーンプロトコル)
という論文が発表されます。
Inclusive Block Chain Protocols(2015)
ここでは、ヨナタン・ソンポリンスキーとアビブ・ゾハール両氏に加え、エルサレム・ヘブライ大学で分散型システムや意思決定に関する問題に取り組み、ブロックチェーン技術の研究を行う学者、
ヨアド・レーベンベルク(Yoad Lewenberg)氏と3人の共著で、DAG(Directed acyclic graph/有向非巡回グラフ)を用いたブロックチェーンの設計を進化させました。
この設計は、ネットワーク内の小規模な参加者をより公平に扱い、ネットワークの効率と公平性を向上させることを目的としていて、この設計により、ビットコインのようなセキュリティを維持しつつも、より多くの参加者が恩恵を受けられるようにするという内容の論文で、多方面にインパクトを与えました。

SPECTRE(2016)論文
さらに翌年2016年、同じくヨナタン・ソンポリンスキーとアビブ・ゾハール、ヨアド・レーベンベルク3氏の共著による
「SPECTRE(Serialization of Proof-of-Work Events)」
(PoWイベントのシリアル化)
という論文が発表されます。
「SPECTRE」(PoWイベントのシリアル化)は、ブロックチェーンのイベントを順序立てて整理するプロセスを指します。
これは、特にブロックがDAG(Directed acyclic graph/有向非巡回グラフ)のような複雑な構造で並行して発生する環境で重要な役割を果たすものです。
従来のブロックチェーン(例:ビットコイン)では、各ブロックが時間的に直列に並べられますが、DAG構造では複数のブロックが同時に追加されることが可能という内容で、それにより‥‥
トランザクション承認の高速化
ブロックをDAGで構造化することで、多くのブロックが並列で処理され、トランザクションの承認が素早く行われます。
セキュリティ強化
ビットコインと同等のセキュリティ、ネットワークの安全性が維持されます。
高いスループット
従来のチェーン型の遅延を回避し、DAG型ネットワークで並行処理を可能することで、複数のブロックが同時にネットワークに追加されるため、大量のトランザクション処理が可能です。
スループットとは、「効率性」や「処理速度」を評価するための、一定時間内に処理される仕事やデータの量のことです。
例えば、1秒あたりに処理できるトランザクションの数(TPS: Transactions Per Second)がスループットの指標となります。

SPECTRE Network(SPR)
先述の「SPECTRE」論文の後、プライバシー、スケーラビリティ、そして分散化に重きを置いた革新的なブロックチェーンプロジェクト「Spectre Network(SPR)」が誕生しています。
このSpectre Network(SPR)ネットワークは「ゴーストチェーン」とも呼ばれ、完全な匿名性と迅速なデジタル取引を目指して設計されています。
PHANTOM GHOSTDAG(2018)論文
2018年には、シャイ・ウィボルスキー(Shai Wyborski)氏を加え、
が発表されました。
シャイ・ウィボルスキー氏は、Kaspaプロジェクトの主要な研究者で、暗号学および量子技術の分野で活動している人物です。
シャイ・ウィボルスキー氏はKaspaの技術的発展に寄与し、Kaspaのパフォーマンスを最適化する改善提案(KIP)(※)の作成にも関わっていて、ネットワークの難易度調整や効率化の面で重要な役割を果たしている開発者で、コミュニティ主導の開発を支持し、Kaspaのようなプロジェクトがどのように持続可能かつ拡張性のある形で進化できるかを探求しています。

(※)KIP(Kaspa Improvement Proposals)は、Kaspaネットワークの進化を支える重要な仕組みで、ユーザーと開発者が協力してブロックチェーンをより良いものにすることを目的とした提案システムです。
KIPは、Kaspaネットワークのパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティを向上させるための技術的な変更や新機能を構築します。
ビットコインや他のプロジェクトで使われている「BIP(Bitcoin Improvement Proposal)」のような役割を果たします。
まさに、民主的プロジェクト一つの証です。
PHANTOMプロトコル
PHANTOMプロトコルの「PHANTOM」は、特に定義された略語ではありませんが、ブロックチェーンのコンセンサスを改善するために設計されています。
このプロトコルは、GHOST(Greedy Heaviest-Observed Sub-Tree)プロトコルの原則に基づいていて、特にスケーラビリティや効率を高めることを目的としています。
従来のナカモト合意の限界を克服することを目指していて、これらのプロトコルは、DAG(Directed acyclic graph/有向非巡回グラフ)構造を使用し、ブロックを並行して生成・確認することで、スループットを向上させ、ネットワークのボトルネック(業務の渋滞が起きている場所)を解消します。
DAG KNIGHT Protocol(2022)論文
2022年には、既存のNakamotoコンセンサス(ビットコインの仕組み)を改良し、高速かつ柔軟なトランザクション処理を実現するプロトコルとして、
論文が発表されます。
ここでは、開発者としてマイケル・サットン(Michael Sutton)氏も加わります。

マイケル・サットン氏は、エルサレム・ヘブライ大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得し、ブロックチェーンの高度な技術、特にブロックDAG(Directed Acyclic Graph)技術や、Kaspaの技術基盤であるGHOSTDAGやDAG Knightなどのプロトコルの開発にも貢献しています。
DAG KNIGHT Protocol
DAG Knightは、Kaspaプロジェクトの一部として提案された新しいコンセンサスプロトコルで、既存のNakamotoコンセンサス(ビットコインの仕組み)を改良し、高速かつ柔軟なトランザクション処理を実現するプロトコルです。
この仕組みは、先述のPHANTOMやGHOSTDAGという先進的な技術に基づいて、ネットワークの遅延に応じて動的に処理を最適化する点が特徴です。
高速PoWネットワーク
従来のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)ベースのブロックチェーンは、ブロック生成速度を遅延の最悪ケースに合わせて調整する必要がありましたが、DAG Knightでは、ネットワーク状態に依存するパラメータレス(※)な設計を導入することで、これを解決します。
これにより、ネットワークの健全性に応じて即座に処理速度が最適化され、トランザクションの高速な確認が可能になるというものです。
パラメータレスとは、「あらかじめ決められた数値や設定がなく、自動で一番いい方法を選んでくれる」という考え方で、設定をする手間がなく、状況に合わせて勝手に良い方法で動いてくれるということです。
KaspaのようなブロックDAGベースのネットワークは、分散化とパフォーマンスの両立を目指しています。
まとめ
分散性、安全性、拡張性(性能)を備えるKaspaの、今日までの主な開発者、論文についてまとめました。
開発者
「ヨナタン・ソンポリンスキー(Yonatan Sompolinsky)=考案者
アビブ・ゾハール(Aviv Zohar)
ヨアド・レーベンベルク(Yoad Lewenberg)
シャイ・ウィボルスキー(Shai Wyborski)
マイケル・サットン(Michael Sutton)
論文
2013年 | Secure High-Rate Transaction Processing in Bitcoin |
2015年 | Inclusive Block Chain Protocols |
2016年 | SPECTRE(Serialization of Proof-of-Work Events) |
2018年 | Phantom GhostDAG |
2022年 | DAG Knight Protocol |
おわりに
Kaspaのメインネットは、3年前の2021年11月7日にローンチ(公開)されました。
続きは次回です。
お読みいただきありがとうごいました。