暗号通貨の未来を拓くKaspa(カスパ)①くりぷと知っ得情報10月16日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
今回からは、見出しにもあります暗号通貨「Kaspa(カスパ)」について、書いていきます。
と、その前に‥‥ビットコインに触れずして、Kaspaのことは書けないので‥‥

ビットコインの考案者=サトシ・ナカモト

2008年10月31日に発表されたビットコイン論文。(日本語)
ここでは、「金融機関等を必要としない低コストでの取引」「中央サーバーではなく、ネットワークで接続された端末同士でのやり取り」「データ改ざんを防ぐブロックチェーン技術」など暗号通貨の仕組みについて書かれています。
その、ビットコインの考案者は、Satoshi Nakamoto(サトシナカモト)と記されていて、日本人のような名前ですが、何者なのかその正体は一切不明で謎に包まれています。(2024年10月16日現在)
サトシ・ナカモト氏は、論文発表後も関連ソウトウェアの開発に携わりましたが、次第に管理権限を他の開発者たちに明け渡し、表舞台から姿を消しています。諸説最新情報
ビットコインは、2009年1月8日にソフトウェアがリリースされ、ネットワークが稼働し始め、今日まで一度たりとも止まらず改ざんされることなく動いています。

ビットコインの時価総額は、世界1位で199兆円。価格は、1,007万円(執筆時)

突然発表された論文の時代背景

当時の時代背景に少し触れておきしょう。
ビットコイン論文が発表されたタイミングとして、アメリカの投資銀行リーマンブラザーズが破綻したことで広がった世界的な金融不安「リーマンショック」がありました。


2000年代初頭から、アメリカでは住宅市場が急成長し、多くの人々が住宅を購入しました。
この際、収入が少ない人や信用度が低い人向けに「サブプライムローン」と呼ばれる高リスクの住宅ローンが広く提供されましたが、住宅価格が上昇し続けるとの楽観的な見通しが広がり、リスクを無視した融資が行われた結果、住宅バブルが形成されてました。
金融機関は、サブプライムローンなどの住宅ローンを証券化(ローン債権をまとめて資産担保証券(MBS)(※)や債務担保証券(CDO)(※)として販売し、リスクを市場全体に分散させようとしたことで、さらに高リスクな融資が行われるという悪循環が生まれました。
また、これらの証券は複雑で透明性が低いため、投資家が本当のリスクを十分に理解できていない状況が発生しました。
2007年頃からアメリカの住宅価格が下落し始め、多くのサブプライムローンの借り手がローンを返済できなくなりました。これにより、サブプライムローンに関連した証券の価値が大幅に下がり、金融機関は巨額の損失を被ることになりました。
こうした状況の中で、格付け機関から信用格付けAAAを受け、世界の経済・金融で重要な存在であったリーマン・ブラザーズは巨額の不良資産を抱え、同社は2008年9月15日に破産を申請しました。
この破綻が引き金となり、世界中の株式市場が急落し、経済不安が拡大しました。

(※)資産担保証券(MBS:Mortgage-Backed Securities)は、住宅ローンをまとめて一つの金融商品として証券化したもの。
銀行などの金融機関が複数の住宅ローンを束ね、そのローンの返済から得られる収益を元にして投資家に販売するもので、投資家はMBSを購入することで、住宅ローンの返済からの収益を受け取る権利を持つことになります。
債務担保証券(CDO:Collateralized Debt Obligation)は、複数の債務(ローン、社債、MBSなど)をまとめて一つの金融商品にした証券。


ビットコイン論文は、リーマンショックが発生した2008年10月31日に公開されましたが、このタイミングは象徴的で、従来の金融システムの限界や脆弱さが露呈した時期で、論文ではブロックチェーン技術を用いて、取引の透明性とセキュリティを確保しながら、中央機関を介さない分散型の取引を可能にする構想が示されました。
このように、リーマンショックはビットコインの誕生背景にある大きな出来事であり、ビットコインの仕組みや思想に大きな影響を与えています。

Kaspaの考案者=ヨナタン・ソンポリンスキー

そんなビットコインの論文を学び、ブロックチェーンの研究をし、ビットコインをより民衆的なもの(次のビットコイン)にしようと設計した人がいます。
現在、ハーバード大学の博士号の研修員で、博士号を取るための研究員である「ヨナタン・ソンポリンスキー(Yonatan Sompolinsky)氏(※)です。

ヨナタン氏は、イスラエルでNo1の国立大学「ヘブライ大学」でコンピューターサイエンスと数学の研究していた時代に、恩師のアビブ・ゾハール(Aviv Zohar)氏から、ビットコイン、ブロックチェーンの研究を勧められたのがきっかけで、Kaspaの基本となるテクノロジーを研究し始めます。

(※)ヨナタン・ソンポリンスキー氏の父ハイム・ソンポリンスキー氏は、ハーバード大学の教授で、数々の受賞歴を持つ。
また、祖父デビット・ソンポリンスキー氏は、元医者、学者で、ホロコースト(第二次世界大戦中にナチス・ドイツがドイツ国内や占領地でユダヤ人などに対して組織的に行った絶滅政策・大量虐殺)でデンマークからスエーデンに数千人のユダヤ人を逃したイスラエルの英雄でもある。

ブロックチェーンのトリレンマ⁉︎

ヨナタン・ソンポリンスキー氏が、ビットコインのブロックチェーン技術を研究して導いた答えの一つ、
それは‥‥

「ブロックチェーンのトリレンマの解決」です。

トリレンマとは?

2つの選択肢のどちらも選べない状態を示す言葉として、ジレンマ(dilemma)という言葉があります。
2つの選択肢で、どちらか一方を選択すればもう一方がマイナスの結果になってしまう状態を示すものです。
一方、トリレンマとは、3つのうち2つしか選択できず、残りの1つは諦めるしかない状況を言いますが、元々国際金融政策において、3つの政策を同時に実現することができないことを指すものとして唱えられていました。
ブロックチェーンのトリレンマについては、安全性(security)、分散性(decentralization)、そして拡張性(scalability=性能)の3つにはトレードオフ(※)があり、同時には2つまでしか成立しないことを意味します。

トレードオフとは、一方を追求するともう一方を犠牲にしなければならないという、二律背反(互いに矛盾する、どちらも同じくらい説得力のある主張のこと)状態のことです。
例えば、「高品質と低価格」だったり「在庫と需要」だったり、2つが両立しないときに「トレードオフの関係」という表現が使われます。

ビットコインのトリレンマとは?

ビットコインの取引の承認方法は、PoW(Proof of Work)を採用しています。
ビットコインの取引は、P2P(※)ネットワークに参加する者同士が、お互いに取引を監視して不正がなければ承認されます。(この承認作業を「マイニング」と言います。)
マイニングとは膨大な計算を必要とする競争で、競争に勝つと、マイニング報酬であるビットコインを獲得できる仕組みですが、マイニングの結果、データの承認作業に約10分を必要とするプログラムとなっています。
つまり、送金に10分かかるという意味です。

(※)P2Pは、peer to peer(ピアトゥピアー)の略で、中心的な機関や装置を持たず、末端の端末(ピア)同士が直接データをやり取りする仕組みです。

この、ブロックを処理して送金が完了するのに10分かかるというのが、ビットコインのトリレンマと言われる所以です。
つまり、PoWのビットコインは、安全性(security)、分権性(decentralization)については担保されますが、拡張性(scalability=性能)に欠けるわけです。

◻︎ブロックチェーンのトリレンマについては、こちら◻︎PoWについては、こちら

GHOST(ゴースト)プロトコル論文(2013年)

この、ビットコインのトリレンマを解決するための研究論文として、2013年に発表されたヨナタン・ソンポリンスキー氏とアビブ・ゾハール氏による論文の名称です。
論文の名は、

Secure High-Rate Transaction Processing in Bitcoin

(訳)「ビットコインにおける、安全でかつ高速にトランザクションを処理する方法」

「Secure High-Rate Transaction Processing in Bitcoin」

「GHOST(ゴースト)プロコトル論文(2013)」とも表されるこの論文は、トランザクション処理を高速化して性能を上げることは、従来のビットコインのコンセンサス・メカニズムに脆弱性を示すことがあると指摘しています。
ビットコインのブロックチェーン技術では、拡張性(性能)を犠牲にするしかなく、この問題に対処するために、

「GHOST(Greedy Heaviest-Observed Sub-Tree)ルール」

を導入することを提案しています。


「GHOST(Greedy Heaviest-Observed Sub-Tree)ルール」を訳すと、

Greedy(欲深い) Heaviest-Observed(最も重い観測) Sub-Tree(補助の樹構造)


となります。
訳すと、難しい💦💦ですが‥‥
GHOSTアルゴリズムでは、
ブロックの長さではなく「重さ(ブロック数や計算量の総和)」でチェーンを評価するため、フォーク(※)が起きやすい状況でもより安全で一貫性のある合意を形成できるということです。

(※)フォークとは、新機能追加やルール変更等の事由でネットワークが分岐することです。
ビットコイン(BTC)がフォークしてビットコインキャッシュ(BCH)が誕生しましたが、後方互換性がないフォークのことをハードフォークと言います。

整理すると、GHOST(Greedy Heaviest-Observed Sub-Tree)とは、
ブロックチェーンの合意形成アルゴリズムの一種で、通常の「最長チェーンルール」に代わり、より多くの計算リソースが投入された重いサブツリーを選択する方法です。

ビットコインのブロックチェーン

ビットコインのブロックチェーンは、ブロックが 1列に直線的に連結され、1つの正しいチェーンが選ばれる形になっています。

Kaspaのブロックダグ(GHOSTDAGプロトコル)

それに対し、GHOSTプロトコル論文は、取引データを格納せずに複数の取引データを同時に処理できる、DAG(Directed acyclic graph/有向非巡回グラフ)というプロトコルを採用し、より効率的なトランザクション確定を目指します。

GHOSTDAG(Greedy Heaviest Observed Sub-Tree DAG:ゴーストダグ)プロコトルの採用により、同時に並行して生成された全てのデータを台帳に統合することで、どのブロックも有効なものとしてネットワークに保持されるため、セキュリティも向上するわけですね。
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  1. ネットワーク上で観測される全てのサブツリーを対象にし、最も重い(多くのブロックが含まれる)サブツリーを選びます。
  2. 他のサブツリーも無視されず、最終的な決定に一定の影響を与えます。
  3. これにより、孤立したブロックが増えるのを防ぎ、リソースの無駄を最小化します。

トリレンマの解決・Kaspaの可能性

現在のKaspaのブロック生成速度は、1BPS(Blocks per Second)で、1秒ごとに1ブロックの生成を実現しています。
ビットコインが10分に1ブロック生成ですので、600倍の速度で処理ができるということになります。
今後のアップデート等については次回触れますが、現段階でもかなり早いのがお分かりいただけると思います。

リアルタイム決済

決済にかかるスピードは1秒以下ということは、ほとんど即時送金に近い速さで、同時に処理できる取引数も数千程度となっているため、リアルタイムでの決済や小額支払いに適したプラットフォームになっています。

高速取引

素早いブロック生成を実現したことで、取引所においても高速取引(High Frequency Trading:HFT)が容易に処理できます。

ネットワークの安定性

DAG(Directed acyclic graph/有向非巡回グラフ)によってフォーク問題を解決し、安定した取引ネットワークを提供することを実現しています。

おわりに

次世代の分散型決済ネットワークとして、ビットコインと同じコンセプトで作られたKaspa。
続きは次回です。
お読みいただきありがとうございました。