RWA銘柄アバランチ(AVX)について④くりぷと知っ得情報10月22日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、RWA(Real World Assets:リアル ワールド アセット)について書いています。

RWAは、株式・不動産・金・国債などの金融資産=「現実世界の資産」をブロックチェーン技術を使って、トークン化する技術・概念のことになります。

🔶RWAが誕生した背景について
くりぷと知っ得情報2月26日号🔶RWAを支える技術=オラクル(Oracle)について
くりぷと知っ得情報3月5日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=債権・クレジット商品(信用商品)編
くりぷと知っ得情報10月1日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=国債・公債編
くりぷと知っ得情報10月8日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=ステーブルコイン編vol.1
くりぷと知っ得情報10月15日号

前号では、「ステーブルコイン」におけるアバランチ(AVX)の取り組みとして、Circle社が開発した「CCTP(Cross-Chain Transfer Protocol)」と、アバランチ(AVX)ネットワーク上で動くDeFiプロジェクトAvant Protocolについて書きました。
ステーブルコイン(Stablecoins)のステーブル(Stable)は、「安定した」という意味で、価格の安定性を実現するように設計された暗号通貨のことです。
そもそも、現在日本でいくつかのプロジェクトがステーブルコインの分野に参入しようとしているのは、2023年6月に施行された改正資金決済法により、日本円や米ドルなどの法定通貨を裏付けとするステーブルコインが「電子決済手段」として法的に位置づけられ、発行・流通が可能になったことによります。
ですので、先ほど「暗号通貨」と書きましたが、日本ではステーブルコインは、「暗号通貨」ではなく、「電子決済手段」として定義づけられています。
今回は、「ステーブルコイン」において、アバランチ(AVX)とともに取り組んでいるプロジェクトについて、書いていこうと思います。

SMBC(Sumitomo Mitsui Banking Corporation)

SMBC(三井住友銀行/Sumitomo Mitsui Banking Corporation)がステーブルコイン/ブロックチェーン領域で進めている取り組みについて、現時点までの進捗等についてまとめました。

SMBC×Ava Labs×Fireblocks×TIS

2025年4月2日、 SMBC(SMBCグループ)、Ava Labs(アバラボス)、Fireblocks(ファイヤーブロックス)、およびTIS(ティーアイエス) Inc. が、ステーブルコイン発行・流通に向けた共同検討(MoU)(※)を締結しました。(参考)

(※)MoU(Memorandum of Understanding)とは、「基本合意書」や「了解覚書」と訳され、正式な契約締結の前に取引の基本的な条件について当事者間で合意した内容を確認するために交わされる文書です。

そのあたりから、書いていきます。

Ava Labs(アヴァ・ラボス)との連携

SMBCは、アバランチ(AVX)の開発企業である「Ava Labs(アバラボス)Inc.」との連携を進めています。
Ava Labs(アバラボス)は、2018年にアメリカ・ニューヨーク州に設立された、ブロックチェーンプラットフォームアバランチ(AVX)を開発・運営している米国企業です。

SMBCの目論見、ビジョン

SMBCは、日本円や米ドルに連動したステーブルコインを発行し、流通の枠組みを整備し決済インフラを構築することを目指しています。
トークン化された国債、社債、不動産などの実世界資産(Real-World Assets:RWA)の清算・決済手段としてステーブルコインを使える構造を作るために、クロスボーダー送金や企業間決済、銀行間決済など従来のSWIFT(※)などに比べてコスト・時間を削減できる可能性を追求し、国内でのステーブルコイン事業を先行させるビジョンを持っています。

(※)SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)は、銀行間で安全かつ効率的に国際的な金融取引メッセージをやり取りするためのネットワークシステムです。
銀行を識別するためのコードは、「SWIFTコード」と呼ばれます。

日本のメガバンクとして、いち早くステーブルコイン・ブロックチェーン基盤を整備することで、国内・国際の決済/トークン化資産決済分野で先行ポジションを取り、従来の銀行業務に加えて、ステーブルコイン発行・流通・決済サービス提供を通じて新たに収益源を拡大し、ブロックチェーンの活用で、国際送金・企業間決済の中間手数料・処理時間を削減し、顧客サービスを強化。
ステーブルコイン発行・運用の枠組みを作っておくことで、制度的優位を取ろうとする目論見があるようです。

Ava Labsの目論見、ビジョン

Ava Labsの目的は、高速・低コスト・高いスケーラビリティを持つブロックチェーンを実現し、金融(DeFi)、RWA(現実資産のトークン化)をはじめとする幅広い用途でWeb3を社会実装することです。
アバランチ(AVX)を「RWAトークン化に最適なブロックチェーン」と位置づけていて、規制が整備されている日本市場で、実際に金融機関がRWA・ステーブルコインを扱う事例を創出すること、「銀行が選ぶブロックチェーン」としての評価を得ることが大きな狙いと言えます。

Fireblocks(ファイヤーブロックス)との連携

「Fireblocks(ファイヤーブロックス)Inc.」は、2018年にアメリカ・ニューヨーク州に設立された、デジタル資産の安全な保管・送金・運用を行うためのインフラ企業です。
特に、銀行・取引所・ファンド・ブロックチェーン企業向けに、「暗号資産のセキュリティと取引インフラ」を提供しています。
主なサービスとして、MPC(マルチパーティ計算)技術により秘密鍵を分散管理、デジタル資産を安全に保管する「カストディ」業務や、ウォレット管理、送金ネットワーク「Fireblocks Network」を提供しています。
MPC(Multi-Party Computation:マルチパーティ計算)とは、「複数の人が”秘密の一部”だけを持ち寄って、一緒に計算をする仕組み」 のことで、秘密鍵を「分散管理」する究極のセキュリティ」技術のことです。

SMBCの目論見、ビジョン

日本の金融インフラをブロックチェーンに対応させ、国内だけでなく国際的にもデジタル金融サービスの先端を担うポジションを狙い、日本の制度改正(資金決済法の改正等)を背景に、早期参入・優位獲得を目指しています。

Fireblockの目論見、ビジョン


Fireblocksはデジタル資産のカストディ(保管)・送金・管理インフラを提供していて、これまで暗号資産取引所やファンド向けに提供してきたサービスを、銀行/金融機関のステーブルコイン発行・流通という大規模商用領域へ拡大する体制を整えようとしています。
SMBCのような大手銀行との提携を通じて「機関向けブロックチェーンインフラの標準プロバイダー」としての地位を強化する機会と捉えています。

TIS(ティーアイエス)との連携


TIS株式会社は、システムインテグレーション(SI)、アウトソーシング、金融ITソリューション、クラウド・デジタル変革支援などを手掛ける日本の大手ITサービスプロバイダーです。(※)
金融分野では、銀行・証券・クレジットカード・保険などの基幹システムの構築・運用実績が豊富で、Web3/ブロックチェーン分野にも積極的に関わっていて、自社サイトで「web3×Creation」「トークンエコノミー」などのテーマを掲げています。

(※)インテグレーション(integration)とは、統合・融合を意味し、システムインテグレーションは、複数の異なるソフトウェアやハードウェアを接続・連携させ、一つのシステムとして機能させることです。
アウトソーシングとは、コスト削減や専門知識の活用等の目的で、外部に業務委託をすること。
ソリューション(solution)とは、「解決」の意味で、金融ITソリューションとは、IT技術(Information Technology:情報技術)を活用して金融の課題を解決するサービスです。

双方の目論見、ビジョン

TISはシステムインテグレーション(SI)・金融ITソリューションの実績があり、SMBCのデジタル化を技術的に支えるパートナーとなり、ステーブルコイン発行や決済インフラ構築に必要なシステム・運用基盤を提供できます。

SMBCとの連携で、TISは「銀行の既存インフラ+ブロックチェーン技術」融合を支援し、実証実験から商用化へ向けた技術整備・運用設計を担当するものと思われます。


SMBC(SMBCグループ)、Ava Labs(アバラボス)、Fireblocks(ファイヤーブロックス)、およびTIS(ティーアイエス) による連携は、日本のステーブルコインプロジェクトの一つとして今後大いに注目されます。

おわりに

この他にも、日本国内で注目される「ステーブルコイン/関連プロジェクト」が進行中です。
次回は、少し角度を変えて、現在進行中の日本のステーブルコインプロジェクトについて書いていこうと思います。
お読みいただきありがとうございました。