RWA銘柄アバランチ(AVX)について⑤くりぷと知っ得情報10月29日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、RWA(Real World Assets:リアル ワールド アセット)について書いています。

RWAは、株式・不動産・金・国債などの金融資産=「現実世界の資産」をブロックチェーン技術を使って、トークン化する技術・概念のことになります。

🔶RWAが誕生した背景について
くりぷと知っ得情報2月26日号🔶RWAを支える技術=オラクル(Oracle)について
くりぷと知っ得情報3月5日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=債権・クレジット商品(信用商品)編
くりぷと知っ得情報10月1日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=国債・公債編
くりぷと知っ得情報10月8日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=ステーブルコイン編vol.1
くりぷと知っ得情報10月15日号🔶アバランチ(AVX)のRWA=ステーブルコイン編vol.2
くりぷと知っ得情報10月22日号

前号では、「ステーブルコイン」におけるアバランチ(AVX)の取り組みの一つとして、SMBC(三井住友銀行/Sumitomo Mitsui Banking Corporation)の例を書きました。
現在、日本でいくつかのプロジェクトがステーブルコインの分野に参入しようとしているのは、2023年6月に施行された改正資金決済法により、日本円や米ドルなどの法定通貨を裏付けとするステーブルコインが「電子決済手段」として法的に位置づけられ、発行・流通が可能になったことによります。

日本のステーブルコインプロジェクト

今回は、少し角度を変えて、現在進行中の日本国内で注目される「ステーブルコイン/関連プロジェクト」を、ピックアップしてみました。(2025年10月時点)
もちろん、その中にはアバランチ(AVX)の開発部門であるAva Labs(アバラボス)との連携のプロジェクトも多数あります。

銀行系

ここからは、発行主体ごとに、そのペッグ(通貨)、主な狙い、現状(進捗)等を比較してみます。
まずは、銀行系から。

SMBC×Ava Labs等コンソーシアム

コンソーシアムとは、共通の目的を持つ複数の企業や組織、個人が協力して活動する集まりの意味で、「共同事業体」の意味です。
前号で書きました、SMBC(三井住友銀行/Sumitomo Mitsui Banking Corporation)とAva Labs(アバラボス)、Fireblocks(ファイヤーブロックス)、およびTIS(ティーアイエス) Inc. がコンソーシアムを作って、事業を推進しています。
前号の記事はこちら

MUFG(Progmat:プログマ)+三大銀行共同構想

Progmat(プログマ)

Progmatは、三菱UFJ信託銀行(MUFG Trust Bank)が開発した、「デジタル資産(ステーブルコイン、証券、RWA)を安全に発行・管理するためのプラットフォーム」です。


参画している銀行として、三菱UFJ信託銀行(MUFG Trust Bank)の他、三井住友銀行(SMBC)、みずほ銀行といった「三大メガバンク」を筆頭に、多数の銀行が参画しています。
また、アバランチ(AVX)の開発企業である「Ava Labs(アバラボス)Inc.」等の技術パートナーと連携し、「Progmat Association(プログマ協会)」が業界標準化を推進中です。

進捗

2024年後半に、「Progmat Association(プログマ協会)」が「Progmat Coin(円建てステーブルコイン)」の設計を公開し、今年に入って三大メガバンク(MUFG・SMBC・みずほ)が共通仕様で発行を調整中です。
実証実験フェーズから、商用化段階に入りつつある段階で、第一段階で「三菱商事」が社内の資金決済にステーブルコインを導入すると報じられています。

みんなの銀行(Minna no Bank)


みんなの銀行は、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の100%子会社として、2021年5月に創業開始した、「スマホ簡潔、無店舗/郵送手続きなし」のデジタルバンクです。
最近では、ステーブルコイン/Web3領域へも展開を検討。
例えば、ソラナ(SOL)チェーン+ステーブルコインの実証実験の報道があります。

進捗

2023年3月、「銀行によるステーブルコイン発行実証実験」のひとつとして、みんなの銀行が参加。
2025年7月には、みんなの銀行がソラナ(SOL)+Fireblocks(ファイヤーブロックス)+TIS(ティーアイエス) Inc.とともに、ステーブルコインを用いた実資産(RWA)決済の用途検討を開始したとの報道があります。
銀行としての信頼性・規制対応・ステーブルコインを用いた商用化・ユースケース実装がまだ途上であるため、実証から本格運用への移行が鍵になり、注目されています。

信託会社系

GMO(GYEN)

GMO-Z.com TrustCompany,Inc.(略称:GMO Trust)は、2020年に設立。
GMO Internetグループ内で「信託会社」形態でデジタル資産発行事業を担う子会社として設立しました。
提供する主要サービスは、円建てステーブルコイン「GYEN」および、ドル建ての「ZUSD」の発行、トークン化・マルチチェーン展開などを挙げています。(参考)

「GYEN」は「日本円ペッグ、1GYEN = ¥1を目指すステーブルコイン」として、100%法定通貨準備金(または相当の流動性資産)で裏付けられていると明記されています。

ブロックチェーンの対応として、イーサリアム(ETH)をはじめステラ(XLM)、ソラナ(SOL)など複数チェーンで発行・流通が可能となっています。

進捗

ステーブルコインは、「完全にペッグを維持しているか」「流通量・取扱先数・市場浸透度」がどの程度かについてが重要になりますが、例えば、CoinMarketCap上で、時価総額・流通量を見ると限定的であったり、まだ大規模な普及フェーズとは言えないデータもあります。
「技術・規制・企業体制」の観点から評価が高く、実用化・普及段階に移ることで大きな伸びしろがあると言われていますが、円建てステーブルコイン自体が日本国内ではまだ限定的なため、信頼性のある銀行・信託会社系企業が発行しているという点で優位性があります。


信託・準備金・規制対応の透明性について、100%裏付けと明言されていて、第三者監査・月次報告など信頼性確保の動きが見られます。
これはユーザー・機関投資家にとって重要で、安心感がありますが、もちろん流動性・預金先の信用・換金条件などのリスクがゼロとは言っていない点に注意が必要です。
例えば、監査報告書中には「Users … are responsible for informing themselves of general risks and uncertainties and evolving regulatory requirements.」という免責条項もあります。
(翻訳)
GMO-Z.com Trust Company, Inc.が発行するステーブルコインの利用者は、一般的なリスクと不確実性、および変化する規制要件について自ら情報収集する責任を負います。これらの事項に関して、当社の意見は変更されません。

SBI×リップル(XRP)

日本国内で送金・金融サービスを多岐にわたって展開しているSBIホールディングスとリップル(XRP)とは早くから提携し、国際送金の効率化を図ってきました。
2016年には、SBIホールディングスとリップル(XRP)の合弁会社、SBI Ripple Asiaが設立され、日本・アジアでの銀行間/送金インフラとしてリップル(XRP)のブロックチェーン技術を導入する動きが報じられています。

進捗

2023年には、SBIホールディングスの国際送金部門 SBI Remitが、リップル(XRP)の支払いソリューション「Ripple Payments」を用い、暗号通貨リップル(XRP)を「橋渡し通貨(bridge currency)」として用いた国際送金サービスを開始しています。
また、2023年9月のリリースで、SBI Remitはさらにフィリピン・ベトナム・インドネシアの銀行口座宛てにも、リップル(XRP)ベースのサービスを拡張することを発表しています。

送金の流れとしては、顧客が日本から送金を依頼すると、SBI Remitがリップル(XRP)のネットワークを通じてリップル(XRP)を即時に送信。

相手国の銀行口座等へ換金・送金という流れが示されています。

SBI Remitから引用

この仕組みによって、従来必要だった「受取国の口座へあらかじめ資金を用意(プリファンド)」するコストや時間を低減できると報じられています。

この協業により、SBI Remitと、リップル(XRP)は「日本〜アジア圏でのリアルなブロックチェーン送金インフラ」を構築しようとしていて、リップル(XRP)を橋渡し通貨として使うことで、従来の銀行送金よりも速度・手数料・実行コストの面で優位性を得られる可能性があります。

企業、プロジェクト系

銀行系以外でも、「日本円ペッグ(1 JPYC = 1円)」のステーブルコインを発行する構想を掲げている企業、プロジェクトがあります。

JPYC

JPYC株式会社(代表取締役 岡部典孝氏)は、2019年11月に設立された、電子決済手段の発行および償還、ステーブルコイン等ブロックチェーン関連コンサルティング等を行う企業です。

進捗

2025年8月には「資金移動業者の登録」を取得した旨の報道があり、日本国内で法令対応を進めている段階です。
ブロックチェーン上で発行・流通可能な形態を目指しており、複数チェーン(アバランチ(AVX)、イーサリアム(ETH)、ポリゴン(POL)等)での展開も想定されています。(参考)
開発者向けにSDK(※)を提供し、「ステーブルコイン送信の自動化」「Web3決済」の普及も意図しています。(参考)
複数チェーン想定のため、実際にどのネットワークでどのバージョンが発行されるか、完全に確定しておらず、将来的に仕様が追加・変更される可能性が懸念されていましたが、10月27日午後1時(日本標準時)から正式に発行を開始し、発行に合わせて、発行および償還の受付を行う専用プラットフォーム「JPYC EX」が公開されています。(参考)

(※)SDKとは、「Software Development Kit」の略称で、アプリケーションを開発するために必要なツールやライブラリなどをまとめた開発キットのことです。

おわりに

今回は、アバランチ(AVX)番外編として、現在進行中の日本の「ステーブルコイン」プロジェクトについてまとめてみました。
次回は、アバランチ(AVX)のRWA「ステーブルコイン編」最終回になります。
お読みいただきありがとうございました。