次世代DEXで注目を集めるハイパーリキッド(HYPE)①くりぷと知っ得情報6月24日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
暗号資産の世界では、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような有名銘柄だけでなく、「取引所そのもの」や「取引の仕組み」に注目が集まることがあります。
その代表例として、いま世界中のトレーダーから注目されているのが、ハイパーリキッド(HYPE):Hyperliquidです。
ネイティブトークンのHYPEは、2024年の上場以来驚異的な価格上昇を遂げ、機関投資家までもが、熱い視線を送っています。
「クリプトスタディ(クリスタ)」の新シリーズでは、このハイパーリキッド(HYPE)について、全12回にわたって徹底解説していきます。
今回は、「ハイパーリキッド(HYPE)の概要」、「HYPEトークンとは何か」「なぜここまで人気なのか」を整理していきましょう。

ハイパーリキッド(HYPE)基本情報

ブロックチェーン名称

Hyperliquid

トークン名称/ティッカーシンボル(通貨)

HYPE

開発者(創設)・企業

Hyperliquid LabsHyperfoundation
創設中心人物
Jeff Yan(ジェフ・ヤン)氏
iliensinc(イリエンシンク)氏=匿名開発者

ローンチ(公開)日

2023年(メインネット公開)

発行枚数(最大供給量)

約10億HYPE(953,814,570.29)

循環供給量(※)

約2.5億HYPE(253,257,347.11)

コンセンサスアルゴリズム

HyperBFT

価格(日本円)

10,228円

世界時価総額ランキング

9位

時価総額(日本円)

約2.58兆円

ホワイトペーパー(事業計画書)

https://hyperliquid.gitbook.io/hyperliquid-docs

2026年6月23日現在、CoinMarketCap調べ

ハイパーリキッド(HYPE)概要

Hyperliquidは、「誰でも自由に使える、次世代のオンライン取引所」です。

ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった暗号資産はもちろん、将来的には株式や金(ゴールド)、為替といった身近な金融商品も取引できるプラットフォームを目指しています。

BinanceやCoinbaseのような一般的な取引所との最大の違いは、「運営会社が資産を管理しない」という点です。

自分の資産は常に自分の手元に置いたまま取引できる、いわゆる「分散型取引所(DEX:Decentralized Exchange)」の仕組みを採用しています。

さらにハイパーリキッド(HYPE)は、この取引所を動かすために専用のブロックチェーン(レイヤー1:Layer1)をゼロから自社開発しています。

「既存のシステムでは遅すぎる、プロが使えるレベルの速さと使い勝手を実現したい」というこだわりから生まれた、いわば取引のためだけに設計されたインフラと言えます。

2026年6月時点では、オンチェーンDEXの永久先物取引(Perpetual:パーペチュアル、永久先物 )の全出来高のうち約70%を占めており、1日あたり105億ドル(1兆6,800億円)を超える取引を処理するまでに成長しました。(参考:Defilama)

これは中央集権型取引所に匹敵するスループット(処理能力)であり、DEXという枠を超えた存在感を示しています。

ハイパーリキッド(HYPE)開発チーム

ハイパーリキッド(HYPE)を生み出したのは、Jeff Yan(ジェフ・ヤン)氏という人物です。
Jeff Yan氏はアメリカ合衆国カリフォルニア州のパロアルト生まれで、中国系移民の両親のもとに育ち、幼少期から物理と数学の才能を発揮していた人物で、国際物理オリンピックの米国代表、2013年に金メダルを獲得という異色の経歴を持っています。
この実績がハーバード大学での数学・コンピュータサイエンス専攻に繋がり、2017年に同大を卒業しました。
卒業後は世界有数のハイフリークエンシートレーディング企業(※1)であるHudson River Tradingに入社。
Hudson River Tradingは、世界各国の株式市場で毎秒数千件の取引を実行する超低遅延システムを構築する企業であり、Jeff Yan氏はクオンツトレーダー(※2)として勤務。この経験が後の取引所設計思想に大きく影響を与えました。(参考)

(※1)ハイフリークエンシートレーディング(High frequency trading=高頻度取引:HFT)企業とは、コンピューターのアルゴリズムを駆使し、ミリ秒(1000分の1秒)やマイクロ秒単位の超高速で、金融商品の自動売買を繰り返す業者です。
主に株式やデリバティブなどのごくわずかな価格差(サヤ)を利用して利益を狙います。
(※2)クオンツトレード(Quant Trade)とは、人間の経験や直感に頼らず、高度な数学的モデルや統計学、プログラミングを活用して金融市場を分析し、取引する手法です。膨大なデータから価格変動のパターンを見つけ出し、機械的に売買を行います。

その後、既存のブロックチェーンはプロのオンチェーン取引には速度が足りないと判断したことが、ハイパーリキッド(HYPE)誕生のきっかけになったといいます。
Jeff Yan氏は、アメリカ合衆国プエルトリコで暗号資産マーケットメイク会社「Chameleon Trading(カメレオントレーディング)」(※)を立ち上げ、その利益を元手にHyperliquid Labsの開発資金を自ら賄いました。(参考)

(※)Chameleon Tradingはそもそも匿名の取引会社として運営されており、実態はプエルトリコのビーチの上でJeff Yan氏が動かしていたようなものでした。
Chameleon Tradingの利益を元手にJeff Yan氏は、ハイパーリキッド(HYPE)を作りました。

Hyperliquid Labs立ち上げ

最大の特徴は、ハーバード大学の同級生で、プソドニマス(Pseudonymous)=匿名開発者の「iliensinc(イリエンシンク)」氏とともに2022年に、Hyperliquid Labsを立ち上げ、外部投資家を一切入れずに小規模なチームで開発を進めてきたことです。
驚くべきことに、チームはわずか11人、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達もゼロという状態でありながら、年間利益は9億ドル(1,440億円)を超える規模に成長しています。
Jeff Yan氏は「中立的なプラットフォームには特権的な配分を受けるインサイダーがいてはならない」という考えから、評価額が数十億ドル規模に達する出資の打診を断ったとも報じられています。
「所有権はコミュニティ主導であるべきだ」という哲学が、ハイパーリキッド(HYPE)の設計思想の根底にあるようです。
ちなみにJeff Yan氏は、ほとんど公にメディアへ露出せず、SNSもごく控えめにしか使わない人物としても知られています。
プロダクトそのもので語らせるというスタイルが、逆にコミュニティの信頼を集める一因になっているのかもしれません。

HYPEとは?

HYPEは、ハイパーリキッド(HYPE)ネットワークのネイティブ(独自開発)トークンです。

ネットワークの運営に必要なステーキング、ガバナンス投票、ガス代の支払い、取引手数料の割引などに利用される、いわばハイパーリキッド(HYPE)エコシステムの中核をなすトークンです。

ガバナンス機能も充実しており、HYPE保有者はHyperliquid Improvement Proposals(HIP)と呼ばれるガバナンス提案に投票でき、新機能の追加やトークノミクスの変更、トレジャリー管理など、プラットフォームの重要な意思決定に参加する権利が与えられます。
供給面では、発行上限は約10億HYPEトークンに設定されており、無秩序な発行は行われない設計になっています。
また、価格についても、2024年11月のローンチ以来、HYPEは1,805%という驚異的なリターンを記録しました。
その後も上昇基調は続き、2026年6月1日には史上最高値となる75.632ドルに到達しています。(参考)

ハイパーリキッド(HYPE)が注目を集める理由

なぜ、ここまでHYPEとハイパーリキッド(HYPE)が世界中のトレーダーから注目を集めているのでしょうか?

①圧倒的な取引速度と使い勝手

独自に構築されたブロックチェーンは取引専用に設計されており、毎秒20万トランザクションの処理が可能で、ほぼ瞬時のファイナリティ(取引確定)を実現しています。
さらにユーザーは最大125倍のレバレッジをかけて145以上の市場で取引しながら、自分の資金の管理権を保持し続けられます。中央集権型取引所のスピード感と、DEXならではの自己管理性を両立しているわけです。(参考)

②機関投資家マネーの本格流入

2026年に入ってからの大きなトピックが、ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)市場への参入です。
米国で現物HYPEのETFへの資金流入が強気相場を支えており、ハイパーリキッド(HYPE)の現物ETFは、2026年5月27日の上場からわずか10営業日で時価総額の1.04%に相当する資金を吸収し、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)の現物ETFを上回る異例のペースで資金流入が進んでいます。(参考)
21SharesとBitwiseが相次いでHYPEの現物ETFを投入したことで注目が拡大しました。

③新しい金融商品への進化

2026年2月にハイパーリキッド(HYPE)は予測市場やオプション型商品の構築を可能にする新機能「HIP-4」を発表し、5月にはこれを活用した「Outcome Markets」がメインネットで公開されました。
これは「○月○日にビットコイン(BTC)価格が○ドルを超えるか」といった将来の出来事に対して取引できる仕組みで、暗号資産にとどまらず、株式・為替・コモディティなど伝統的な金融資産の世界にも触手を伸ばしつつあります。

④「VCなし・コミュニティ重視」というストーリー

ベンチャーキャピタル(VC)に頼らず、創業者自身の資金と11人の小さなチームでここまで成長してきたという物語性も、ハイパーリキッド(HYPE)が多くのトレーダーやコミュニティから支持される理由の一つでしょう。
インサイダーによる優遇配分がない透明性の高い設計は、「公正な取引所」を求めるユーザー層に強く響いているようです。

おわりに

次回は、「ハイパーリキッド(HYPE)誕生の歴史 ~無名プロジェクトからトップDEXへの軌跡~」と題して、創業からここまでの成長の軌跡を時系列で詳しく追っていこうと思います。
お読みいただいてありがとうございました。