次世代DEXで注目を集めるハイパーリキッド(HYPE)⑥くりぷと知っ得情報7月29日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、いま世界中のトレーダーから注目されている、ハイパーリキッド(HYPE)について、書いています。
🔶ハイパーリキッド(HYPE)の概要くりぷと知っ得情報6月24日号🔶ハイパーリキッド(HYPE)がDEX市場のトップに立つまでの軌跡
くりぷと知っ得情報7月1日号🔶ハイパーリキッド(HYPE)はなぜそこまで速いのか⁉︎
くりぷと知っ得情報7月8日号🔶ハイパーリキッド(HYPE)の収益モデルの核心
くりぷと知っ得情報7月15日号🔶ハイパーリキッド(HYPE)のトークンの使い道と価値の源泉
くりぷと知っ得情報7月22日号
前号は、ハイパーリキッド(HYPE)のトークンの使い道と価値の源泉について書きました。
今回は、「HyperliquidはBinance(バイナンス)の代わりになれるのか?」という、気になる疑問について、両者を徹底比較しながら、それぞれの強みと弱みを整理していきます。
「CEX」と「DEX」の違い(おさらい)
まず基本的な違いを整理しておきましょう。
CEX(Centralized Exchange:中央集権型取引所)とは、Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)のように「運営会社が取引所を管理する」タイプです。銀行口座のように、資産の管理は取引所に預けます。使いやすい反面、「取引所が倒産したら資産が戻ってこない」「運営会社が資産を凍結できる」というリスクがあります。
2022年のFTX(エフティーエックス)の経営破綻はその最悪の例でした。
一方、DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所)とは、Hyperliquidのように「運営会社が資産を管理しない」タイプです。
自分の資産は常に自分のウォレットに置いたまま取引できます。
透明性が高い反面、従来は「遅い・使いにくい」という弱点がありました。
Hyperliquidはこの「DEXの弱点」を解消しようとしているプラットフォームです
「Hyperliquid」と「Binance」を比較
一気に比較してみました。
比較項目Binance(CEX)Hyperliquid(DEX)設立2017年2022年資産の管理取引所が管理(カストディアル)自分が管理(ノンカストディアル)KYC(本人確認)必須不要取引速度毎秒最大10万件(公式ブログ)毎秒20万件(公式発表)取引確定時間非公開(ほぼ瞬時:ミリ秒単位)平均0.2秒(公式発表)現物Taker手数料(※1)0.10%(基本料金)0.070%現物Maker手数料0.10%(基本料金)0.040%先物Taker手数料0.05%(USDT-M)(※2)0.045%先物Maker手数料0.02%(USDT-M)0.015%レバレッジ上限最大125倍最大50倍現物取扱銘柄数600以上30〜40銘柄先物取扱銘柄数400以上150以上(HIP-3含む)ユーザー数3億2,300万人(公式プレスリリース)約140万人以上(出典:MEXC News)透明性低い(サーバー管理)高い(全取引がオンチェーン)ガス代なしなし(取引はガスフリー)株式・コモディティ先物なしあり(HIP-3市場)EU規制対応2026年7月1日よりEU向けサービス停止(MiCAライセンス未取得のため)出典:CoinDesk影響なし(分散型のため)VC配分あり(BNBトークン)なし
Binanceの現物手数料について基本手数料はMaker・Taker共に0.10%ですが、BNBトークンで手数料を支払うと25%割引(0.075%)になります。
また30日間の取引量に応じたVIPティア制度があり、最上位では0.008%まで下がります。出典:Binance公式手数料ページ
Hyperliquidの現物手数料について現物取引はTaker 0.070%・Maker 0.040%で先物より高めですが、現物取引量はボリュームティアの計算で2倍にカウントされるため、先物と現物を組み合わせることでティアが上がりやすくなっています。(参考)
出典:Hyperliquid公式ドキュメント
(※1)「テイカー(Taker)」と「メイカー(Maker)」は取引板(オーダーブック)での役割を指します。テイカーは「既存の注文をすぐに約定させて流動性を奪う注文」、メイカーは「取引板に新たな注文を並べて流動性を提供する注文」です。
(※2)「USDT-M」は、暗号資産の先物取引において、証拠金および損益の計算・決済のすべてをステーブルコインのUSDTで行う取引方式。
Binanceの強み
①圧倒的なユーザー数と流動性
Binance(バイナンス)は世界最大の取引所であり、約1億7,000万人のユーザーを抱えています。
特にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要通貨では、注文板の厚さ(流動性)においてHyperliquidをまだ上回っており、数億円規模の大口取引でも、注文した価格(注文レート)と実際に取引が成立した価格(約定レート)に生じるズレ(スリッページ)が少ない点が強みです。
②豊富な取引の種類と利便性
現物・先物・オプション・ステーキング・レンディング・NFT・ローンチパッドなど、一つのプラットフォームで多様な金融サービスを利用できます。
初心者向けのUIも充実しており、クレジットカードや銀行振込による法定通貨(円・ドルなど)での入金にも対応しています。
Hyperliquidの強み
①自分の資産は自分で管理
Hyperliquidの最大の強みは「ノンカストディアル(非預託)」であることです。
資産は常に自分のウォレットに置いたまま取引できるため、取引所の倒産・ハッキング・資産凍結のリスクがありません。
FTX崩壊のような事態が起きても、ユーザーの資産は守られます。
②KYC不要、規制の影響を受けにくい
Hyperliquidは本人確認(KYC認証)が不要で、インターネットに接続できる環境があれば世界中どこからでも利用できます。
2026年7月1日、Binance(バイナンス)がEU(欧州連合)向けのサービスを停止したことが話題になりましたが、分散型のHyperliquidは規制当局による停止命令の影響を構造的に受けにくい設計です。
③手数料の安さと透明性
Hyperliquidの手数料はBinanceより低く、Taker手数料は「0.045%対Binanceの0.05%(USDT-M)」、Maker手数料は「0.015%対0.02%」です。
また、Hyperliquidは取引時のガス代がゼロです。注文の発注・キャンセル・約定すべてがガス代なしで行えます(公式ドキュメント)。
ただし、入出金時にアービトラム(ARB)ネットワークのガス代(通常0.10ドル未満)が発生します。
またHyperEVM上でのDeFi操作(レンディングなど)は別途HYPEでガス代が必要です。
これはプロトコルの設計上の恒久的な特徴で、取引コストの面では総合的にHyperliquidが有利です。(出典: Coinperps)
また、すべての取引履歴がブロックチェーン上に記録されており、「取引所が注文を操作している」「インサイダーに有利な取引をしている」といった不正が構造上できない透明性の高さも大きな違いです。
④株式・コモディティなど伝統的資産の24時間取引
HIP-3の導入により、Hyperliquidでは、テスラ(TSLA)・アップル(AAPL)・エヌビディア(NVDA)などの米国株先物や、金・原油・S&P500指数の先物を24時間365日取引できます。
Binanceはこうした伝統的金融資産の取引市場を持っていないため、この点はHyperliquidの大きな差別化ポイントです。
Hyperliquidの弱み・注意点
一方、Hyperliquidの現段階での弱みについても、Binanceと比較してみましょう。
①取扱銘柄数の少なさ

Binanceが600以上の現物銘柄を扱うのに対し、Hyperliquidはまだ30以上の現物市場にとどまっています。
マイナーなアルトコインを現物で売買したい場合はBinanceに軍配が上がります。
②法定通貨での入金に非対応円やドルなどの法定通貨でHyperliquidに直接入金することはできません。
まず別の取引所でUSDC(ステーブルコイン)を購入し、アービトラム(ARB)ネットワーク経由でブリッジする必要があります。
この手順が初心者には難しく感じられる点です。
③レバレッジ上限自己資金(証拠金など)を担保として預けることで、その何倍もの金額の取引ができる仕組み「レバレッジ」についてですが、Binanceの最大125倍に対し、Hyperliquidは最大50倍です。
高倍率のレバレッジを好むトレーダーにとっては選択肢が限られます。④モバイルアプリの成熟度Binanceのモバイルアプリは長年の改良を経て非常に使いやすいのに対し、Hyperliquidのアプリはまだ発展途上で、機能面や使い勝手でやや劣ります。
「流動性でBinanceを超えた」は本当?2026年1月、Jeff Yan(ジェフ・ヤン)はSNSで「HyperliquidがBTCパーペチュアル市場の流動性でBinanceを静かに超えた」と発言し、業界に衝撃を与えました。Hyperliquidの出来高のBinanceに対する比率は、2026年初頭に+8%から+14%へと上昇し、採用の拡大を示しています。( Yahoo Finance)ただしこの主張には反論もあり、Hyperliquidではマーケットメイカーが瞬時に注文をキャンセルできる設計になっているため、板に表示される注文が「幽霊(見せかけ)のような流動性(Phantom Liquidity:ファントムリクイディティ)」である可能性も指摘されています。先物(パーペチュアル)取引量に限定した比較でも、Binanceは依然としてHyperliquidを大きく上回っており、最新の比較データはThe BlockおよびCoinPerpsでリアルタイムに確認できます「流動性でBinanceを超えた」という主張は、特定の指標(BTC先物の板の厚さ)での比較であり、全面的な逆転ではないというのが現時点での正確な評価といえます。
DEXはCEXを超えられるか?2022年のFTX崩壊以降、「中央集権型取引所に資産を預けるリスク」への意識が高まり、HyperliquidやUniswapなどのような自己管理型のDEXへの注目が急速に高まりました。現時点では「すべての面でHyperliquidがBinanceを超えた」とは言えません。
しかし「特定の用途では明らかにHyperliquidが優れている」という状況は確実に生まれています。取引所の歴史はまだこれからも続きます。
次世代の取引所がDEXになるかどうかは、HyperliquidやUniswapなどの分散型プラットフォームがこれからどこまで使いやすさ、流動性、規制対応を改善できるかにかかっています。
おわりに今回はここまでです。次回は「Hyperliquidのエアドロップ伝説 ~史上最大級と言われた理由~」として、2024年11月に暗号資産業界を震撼させたHYPEエアドロップの全貌を改めて深掘りしていきます。お読みいただいてありがとうございました。