次世代DEXで注目を集めるハイパーリキッド(HYPE)④くりぷと知っ得情報7月15日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、いま世界中のトレーダーから注目されている、ハイパーリキッド(HYPE)について、書いています。

🔶ハイパーリキッド(HYPE)の概要くりぷと知っ得情報6月24日号🔶ハイパーリキッド(HYPE)がDEX市場のトップに立つまでの軌跡
くりぷと知っ得情報7月1日号🔶ハイパーリキッド(HYPE)はなぜそこまで速いのか⁉︎
くりぷと知っ得情報7月8日号

前号は、ハイパーリキッド(HYPE)は、「なぜここまで速いのか?」
①「独自レイヤー1チェーン」
②「HyperBFT」
③「オンチェーンオーダーブック」設計
④「HyperBFT」と「HyperEVM」
という技術面の秘密に迫りました。
今回は、プラットフォームはどうやってお金を稼いでいるのか」「稼いだお金はどこへ行くのか」という収益モデルの核心に迫ります。
ここを理解すると、HYPE価格がなぜ上がり続けているのかが見えてきます。

Hyperliquidの収益源

ハイパーリキッド(HYPE)の収益のほぼすべては、取引手数料から生まれています。

ユーザーが取引をするたびに、わずかな手数料が発生しますが、手数料の仕組みは以下のとおりです。

注文の種類

手数料率

説明

Taker(成行注文)

0.045%

板に出ている注文を「取る(Takeする)」取引

Maker(指値注文)

0.015%

板に注文を「作る(Makeする)」取引

一見すると非常に小さな数字ですが、活況時には1日あたり100億ドル(1.6兆円)を超える取引量を処理していて、その手数料収入は莫大な規模になります。
これは永久先物取引(Perpetual:パーペチュアル、永久先物 )取引量の数字で、現物(スポット)取引と合算するとさらに大きくなります。

DefiLlamaのチャートによると、2025年後半から2026年初頭にかけて特に収益が拡大しており、ピーク時には1日あたり数百万ドル規模の収益を記録しています。(参考)
2026年4月時点の30日間収益は約5,270万ドル(84億円)で、年換算すると約6億8,500万ドル(1000億円以上)に相当します。

集めた収益はどこへ

ほとんどのDEXでは、集めた手数料は運営チームやVC(ベンチャーキャピタル)の懐に入ります。

他のほとんどのプロトコルではチームやインサイダーが手数料の主な受益者ですが、ハイパーリキッド(HYPE)では手数料がすべてコミュニティに向けられています。
具体的には、HLP(流動性プール)、Assistance Fund(アシスタンスファンド)、そしてマーケット開設者(デプロイヤー)の3つに分配されます。(参考)

この中でHYPEトークンの価格に最も直結するのが、Assistance Fund(アシスタンスファンド)です。

Assistances Fund(アシスタンスファンド)

Assistance Fundとは、取引手数料の約97%から99%を自動的に

HYPEトークンの買い戻し(バイバック)とバーン(焼却)

に充てる仕組みです。

株式投資で言う「自社株買い」に相当します。
企業が自社の株を市場から買い戻すと流通量が減って株価が上がりやすくなりますが、ハイパーリキッド(HYPE)はまったく同じことをHYPEトークンで行っているわけです。

この仕組みは完全に自動化されていて、Assistance Fundは、Hyperliquidのブロックチェーン(Layer 1:レイヤー 1)に組み込まれたシステムアドレスです。

つまり特定の人間が管理する財布ではなく、ブロックチェーンそのものの動作の一部として自動的に動いています。
ユーザーが取引をするたびに、手数料が自動的にHYPEトークンの購入に充てられ、購入されたHYPEは市場に戻ることなく永久に消滅(バーン)します。

この動きはすべてブロックチェーン上に記録されており、Assistance Fundのウォレットを見ると、数分おきにHYPEが自動で買い続けられている様子をリアルタイムで誰でも確認できます。

運営が「こっそり使い込む」ことは構造上できない設計になっています。

Assistance Fund内のHYPEはバーンされ、流通供給量と総供給量から永久に除外されます。(参考)

また、バーンされたHYPEは総供給量から除外されますが、DefiLlamaのページと照合すると実際のバーン量が把握できます。

フライホイール〜成長が加速する好循環

この収益モデルが優れているのは、「使えば使うほど価値が上がる」という好循環(フライホイール)を生み出している点です。

大型バーンの実例

この仕組みが実際に動いていることを示す象徴的な出来事が、2025年12月に起きました。

Hyperfoundationの提案によるバリデーターガバナンス投票が行われ、Assistance Fundに自動的に蓄積されていた約3,720万枚のHYPE(当時の価値で約10億ドル=1,557億円相当)を正式にバーン(永久焼却)することが決議されました。

投票は2025年12月17日に提案され、12月24日に締め切られました。
バリデーターが「賛成・反対・棄権」のスタンスを表明し、委任された総ステーク量の重みで結果が決まる「ステーク加重コンセンサス」方式で行われ、賛成85%・反対7%・棄権8%という圧倒的多数で可決されました。これらのトークンは二度と市場に戻らない形で永久に消滅しました。

この3,720万枚という数字は、HYPEの流通供給量全体の約11〜13%に相当します。
つまり市場に出回っているHYPEの約8枚に1枚が、この一回の決議で永久に消えた計算になります。

「誰かが勝手に決めるのではなく、コミュニティ全員で決める」という設計思想が、この一件で最もわかりやすい形で体現されました。

手数料収入の分配先まとめ

Assistance Fundの仕組みについては、前述のとおりですが、ここでHyperliquidの手数料収入がどこに向かうのかを整理すると、以下のようになります。

分配先内容Assistance Fund約97%。HYPEを自動で買い戻し・バーン。HYPE価格の下支えに直結HLP(流動性プール)流動性を提供するユーザーへの報酬に充当デプロイヤー(開設者)HIP-3などで市場を開設した開発者が最大50%を受け取れる

HLP(Hyperliquidity Provider)への分配

「HLP(Hyperliquidity Provider:ハイパーリクイディティ・プロバイダー)」ですが、収益モデルの観点からも重要です。

HLPは一般ユーザーが資金を預けることで、その資金がプラットフォームの流動性提供(マーケットメイク)に使われ、得られた利益が還元される仕組みです。

ユーザーにとっては資金を寝かせておくだけで利益が得られる一方、プラットフォームにとっては流動性が確保されて取引体験が向上するという、双方にメリットのある設計になっています。

デプロイヤー(マーケット開設者)の分配

以前は、新しい市場を作れるのはハイパーリキッド(HYPE)の運営チームだけでしたが、HIP-3が導入され、「条件を満たせば誰でも自由に新しい取引市場を開設できるルール」ができました。

HIP-3の登場で、50万HYPEをステーキング(担保として預け入れ)することで、誰でも自由に新しいパーペチュアル(永久先物取引)取引市場を開設できるようになりました。

開設した市場で発生した取引手数料の50%がデプロイヤーの収入になりますが、HIP-3市場の手数料はユーザー側から見ると通常の2倍に設定されています。

その半分をデプロイヤーが受け取るため、Hyperliquidプロトコルが最終的に受け取る金額は通常市場と同じになります。

つまり「デプロイヤーが50%を取っても、Hyperliquid全体の収益は減らない」という、うまくできた設計になっています。

摘要通常市場HIP-3市場ユーザーが払う手数料1(基準)2(2倍)デプロイヤーの取り分なし1(半分)プロトコルの取り分11(同じ)

HIP-3市場により、金・銀・石油・米国株(テスラ(TSLA)・アップル(AAPL)・エヌビディア(NVDA)など)といった、これまで暗号資産取引所では扱えなかった資産の取引市場が次々と開設されており、Hyperliquidは「暗号資産の取引所」から

「あらゆる金融資産を取引できるプラットフォーム」

へと進化しつつあります。

まとめ

Hyperliquidの収益モデルがHYPE価格に与える影響は3つ

①直接的な買い圧力取引手数料の97%が毎日自動的にHYPEを市場から買い続けている(バイバック)

②供給量の継続的な減少買い戻されたHYPEは永久にバーン(焼却)され、二度と市場に戻らない

③透明性による信頼すべてのプロセスがオンチェーンで誰でも確認できるため、「こっそり売られる心配がない」という安心感がある

この3つが組み合わさることで、Hyperliquidの収益モデルは単なる「手数料ビジネス」ではなく、使えば使うほどトークンの希少性が高まる設計になっています。

おわりに

第5回は「HYPEトークン徹底解説 ~何に使われるのか?、価値の源泉とは~」として、HYPEトークンそのものの使い道と、ガバナンス・ステーキングなどの詳細な仕組みを解説します。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。