次世代DEXで注目を集めるハイパーリキッド(HYPE)②くりぷと知っ得情報7月1日号

クリプトスタディ(クリスタ)の水野です。
シリーズで、いま世界中のトレーダーから注目されている、ハイパーリキッド(HYPE)について、書いています。
前号では、ハイパーリキッド(HYPE)とは何か、そしてなぜ世界中のトレーダーが注目しているのかをお伝えしました。

🔶ハイパーリキッド(HYPE)の概要くりぷと知っ得情報6月24日号

今回は、時系列に沿ってハイパーリキッド(HYPE)がどのように生まれ、どのように成長してきたかを追っていきます。
スタート時点では、ほんの一握りのユーザーしか知らない無名プロジェクトだったハイパーリキッド(HYPE)が、わずか数年でDEX市場の上位に立つまでの軌跡になります。

無名プロジェクトからトップDEXへの軌跡

ハイパーリキッド(HYPE)の誕生を語るうえで、2022年11月に起きたFTX(エフティーエックス)の経営破綻は外せません。

当時FTXは、「暗号資産業界の未来を担う」と称賛されていた大手の中央集権型取引所でした。
ところが実態は顧客の資産を流用した不正経営であり、その崩壊によって多くのユーザーが預けていた資産を失いました。

FTXの破綻は「暗号資産業界のリーマンショック」とも呼ばれ、業界全体の信頼を大きく揺るがしました。

この事件を目の当たりにしたJeff Yan(ジェフ・ヤン)氏は、「運営会社が資産を管理する取引所はいつか同じことが起きる」と確信します。

自身が運営していたマーケットメイク会社「Chameleon Trading(カメレオントレーディング)」(※)もFTXの崩壊を機に閉鎖し、その資金と経験のすべてを新しいプロジェクトに注ぎ込むことを決意しました。

それがHyperliquid Labsです。

(※)公式サイトはすでに閉鎖されています。

誕生から公開まで〜静かな助走期(2022〜2023年)

2022年7月 Hyperliquid Labs設立

Jeff Yan(ジェフ・ヤン)氏はハーバード大学時代の同級生で、プソドニマス(Pseudonymous)=覆面開発者の「iliensinc(イリエンシンク)」氏とともにHyperliquid Labsを立ち上げます。

外部投資家は一切入れず、チームはわずか11人という、少数精鋭部隊です。

Chameleon Tradingで積み上げた資金だけを元手に、開発がスタートしました。

2022年12月 テストネット稼働

最初の段階では、まず独自のLayer1ブロックチェーンのテストネットが動き始めます。

この段階ではまだ招待制のクローズドアルファ(Closed Alpha)で、数百人のトレーダーだけがアクセスできる状態でした。

「クローズド アルファ(Closed Alpha)」とは、初期の開発段階(アルファ版)において一般公開をせず、招待された一部のユーザーや関係者のみを対象に行われるテストのことです。

2023年2月 メインネット公開

その後、メインネットが一般公開されます。

とはいえ、当初のユーザー層はNFTコレクターや暗号資産に興味を持つ個人が中心で、$10程度の少額取引やペーパートレード(模擬取引)から始める人がほとんどでした。

本格的なトレーダーはまだほとんど来ていない、静かな立ち上がりでした。

2023年5月 HLP(Hyperliquidity Provider) 誕生

転機となったのがこの時期です。

Jeff Yan(ジェフ・ヤン)氏はChameleon Tradingで磨いてきたマーケットメイクの戦略を、「HLP(Hyperliquidity Provider:ハイパーリクイディティ・プロバイダー)」と呼ばれるオンチェーンの流動性プールに組み込みます。

「HLP(Hyperliquidity Provider)」とは、一般ユーザーがハイパーリキッド(HYPE)に資金を預けると、その資金がプラットフォームの流動性提供に使われ、得られた利益(手数料)が還元される仕組みです。

これにより取引の流動性が一気に高まり、本格的なトレーダーも使えるプラットフォームへと変貌し始めます。

2023年11月 ポイントプログラム開始

この年の秋、ハイパーリキッド(HYPE)の成長の大きな鍵となる「ポイントプログラム」が導入されます。

「使えば使うほどポイントが貯まり、将来のトークン配布(エアドロップ)に直結する」という仕組みで、ポイント数がそのままHYPEの受け取り量に反映されるため、「早く・たくさん使った人が多くもらえる」という設計になっていました。

実はポイントプログラム自体は「クローズド アルファ(Closed Alpha)」の時期(〜2023年10月末)からすでに始まっており、終了時点で1万1,500人のアクティブユーザーに対して4億4,600万クレジットが配布されていました。

この時期に参加していた人たちが、後に最も多くのHYPEを受け取ることになります。

シーズン1

2023年11月1日に正式スタートしたシーズン1では、毎週100万ポイントを6ヶ月間配布するプログラムが公開されました。

ポイントは毎週水曜日0時(UTC)に集計され、木曜日に配布される仕組みで、主に先物取引(Perpetual:パーペチュアル、永久先物 )取引量が評価対象でした。

このプログラムが高く評価された理由の一つが、大口資本による独占を防ぐ設計です。
報酬の計算方法をあえて非公開にすることで、大口ユーザーがシステムを悪用してポイントを独占することを防ぎ、より公平な報酬分配を実現しました。

「どうやればたくさんもらえるか」を各自が試行錯誤する仕組み

にしたわけです。

また紹介プログラムも用意されており、紹介した友人が獲得したポイントの4分の1が紹介者にも付与される、口コミ拡散の仕掛けもありました。

「このポイントは将来的に何かに使えるのでは?」という期待感がコミュニティに広がり、口コミでユーザーが増え始めました。後になって、このポイントがHYPEトークンのエアドロップに直結することが明らかになります。(参考)

大爆発!HYPEエアドロップと急成長(2024年)

2024年4月 初のエアドロップ「PURR」

ハイパーリキッド(HYPE)は初のエアドロップとして、ミームコイン「Purr(PURR):パー」をユーザーに配布します。
本命のHYPEではありませんでしたが、「Hyperfoundationはユーザーに還元してくれる」という印象を広く与え、新規ユーザーの流入を加速させました。

2024年5〜10月 ポイントプログラムの進化

シーズン1.5

ポイントプログラムはさらに進化しました。
シーズン1.5(5月1日〜5月28日)では4週間の中間シーズンとして、ポイントが2倍になるキャンペーンが実施され、合計800万ポイントが配布されました。(参考)

シーズン2

続くシーズン2(5月29日〜9月29日)では、毎週70万クレジットの配布に変更され、現物(スポット)取引や資産保有もポイント対象に追加されました。
先物しか使えなかった大口トレーダーだけでなく、少額の現物取引の個人ユーザーも稼ぎやすくなった重要な変更点です。

シーズン2.5

その後シーズン2.5(9月30日〜11月)が非公開シーズンとして静かに運営され、合計840万クレジットが配布されました。(参考)

2024年10月 スナップショット締め切り

HYPEエアドロップの配布量を決めるための累積取引量の集計が、この時点で締め切られます。
「もっと早く使い始めておけばよかった」という声がSNSに溢れ、ハイパーリキッド(HYPE)の認知がさらに広がるきっかけとなりました。

2024年11月29日 HYPEジェネシスエアドロップ

総供給量の31%にあたる3億1,000万HYPEが、ロックアップなしで初期ユーザーに一斉配布され、

暗号資産史上最大級の富の移転

の一つと称されました。
ハイパーリキッド(HYPE)史上最大の出来事です。(参考)
配布対象は約9万4,000のウォレットで、最大取得額は約198万枚(当時約5.9億円相当)、平均取得額でも2,881枚(約86万円相当)という規模でした。
中には8万3,450HYPEを受け取ったケースも報告されており、投稿時点のレートで約4,600万円相当に上る例もありました。
特筆すべきは配布の「公平さ」です。
VCや機関投資家への配布はゼロという、業界では極めて異例の配布構造が採用され、恩恵を受けたのはあくまでも実際に使い続けてきた一般ユーザーでした。
「VC不在・コミュニティファースト」という設計思想が、この瞬間に最もわかりやすい形で体現されたといえます。

2024年12月 ステーキング機能の導入

HYPEのエアドロップからわずか1ヶ月後にステーキング機能が実装され、初期段階で3億HYPEがステーキングされ、ローンチ後1時間でさらに700万HYPEが追加されました。
コミュニティの熱量の高さを示す数字です。

さらなる進化 エコシステムの拡張(2025年〜)

2024年を通じて、日々の取引量は10億ドルから150億ドルへ、TVL(Total Value Locked:預かり資産総額)は、5,600万ドルから21億ドルへ、ユーザー数は3.1万人から30万人へと急拡大しました。

2025年2月 HyperEVMメインネット稼働

取引所としての機能に加え、イーサリアムと互換性のあるスマートコントラクト実行環境「HyperEVM」がメインネットで動き始めます。これにより、Hyperliquidは単なる取引所の枠を超え、他の開発者がアプリケーションを構築できるエコシステムへと進化しました。

HyperEVMは、ハイパーリキッド(HYPE)のL1(レイヤー1)ブロックチェーン上に構築された、イーサリアム互換(EVM:Ethereum Virtual Machine)のスマートコントラクト実行環境です。(こちらについては、次回触れます)

2025年3月 「JELLY JELLY事件」急成長の中で波乱もありました。
ミームコイン「Jelly-My-Jelly(JELLYJELLY)」を巡る市場操作の疑いが発生し、Hyperliquidが緊急でその上場廃止を決定した騒動です。
ソラナ(SOL)ブロックチェーンベースに開発されたSocialFiミームコイン「Jelly-My-Jelly(JELLYJELLY)」の現物を大口トレーダーが買い占め、価格を6倍に急騰させ、頂点で巨額の空売り(ショート)を仕掛けた後、現物を猛烈に投げ売りして暴落させた騒動です。
これに対し、システム崩壊を防ぐため、Hyperfoundationが緊急介入し、首謀者のポジションを強制決済し、JELLYJELLYを即座に上場廃止にしました。
「分散型金融(DeFi)なのに、運営が中央集権的に取引を強制停止したこと」が業界内で大きな論争となりましたが、首謀者のポジションを強制決済し、JELLYJELLYを即座にデリスト(delist:上場廃止)した後、運営のHyperfoundationが、事件の煽りを受けて損失を被った一般ユーザーへ自動補填を実施したことで、その「迅速な対処」に対し評価も生まれ、コミュニティ内で議論を呼びました。(参考)
リスク管理のあり方については改めて(第11回予定)で詳しく取り上げようと思います。2025年5月 HIP-3によるパーミッションレス市場創設前号でも触れた「HIP(Hyperliquid Improvement Proposals)」は、ガバナンスの仕組みで、「プラットフォームをどう改善・変更するかをコミュニティが提案・投票して決める制度」です。
イーサリアム(ETH)のEIP(Ethereum Improvement Proposals)に近いイメージです。
「パーミッションレス(Permissionless)」とは、中央の管理者による事前の許可や承認を必要とせず、誰でも自由に参加できる仕組みやシステムを指しますが、2025年5月に、誰でも新しい取引市場を作れる「HIP-3」が導入されます。
ハイパーリキッド(HYPE)がプラットフォームとしての開放性をさらに高めた重要なアップデートで、開発者やコミュニティ主導の市場拡大が加速しました。2026年 DEX市場の頂点へ2026年5月までに、Hyperliquidは月間600億〜900億ドルの永久先物取引量を定期的に処理し、あらゆる意味のある指標において単一最大のオンチェーン永久取引所としての地位を固めました。(参考)
米NYSE(ニューヨーク証券取引所)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE:Intercontinental Exchange)のJeffrey Craig Sprecher(ジェフ・シュプレッヒャー)CEOは、「HyperliquidはNASDAQより大きい」と表現したほどの規模感、変貌ぶりは、目を見張るものがあります。(参考)まとめハイパーリキッド(HYPE)がここまで急成長できた理由を振り返ると、3つの柱が見えてきます。①プロダクトの質
速さと使いやすさで、本物のトレーダーを引き付けた。②コミュニティへの還元VCを排除し、利益をユーザーに返し続けた誠実な設計。③ポイント→エアドロップという体験
「使い続けた人が報われる」という口コミを生んだ仕組み。おわりに次回は、「なぜハイパーリキッド(HYPE)は速いのか? ~独自L1チェーンの秘密~」として、この驚異的な速さを支える技術の中身に迫ります。お読みいただいてありがとうございました。